
2011春夏のJFWでアートユニットchim↑pomとコラボしたショーを行い、大きな注目を集めたMIKIO SAKABE。デザイナー坂部三樹郎さんは、高校の理工学部を卒業後、英セントマーチンで一度はアートの分野を志すがファッションに転換し、アントワープ王立芸術アカデミー ファッション科に進み、主席で卒業したという多彩な経歴の持ち主。一方、デザインから関わって具現化する役のジェンファンさんは、高校からファッション専門学校に進学し、ブリュッセルのラカンブル(王立ファッション学校)で学んだファッション一徹派。二人は2007年、日本で「ミキオサカベ」を設立し、以来、パリ、ミラノでコレクションを発表しながら、東京をベースに、ジャンルを越え、同世代のデザイナーやアーティストとパワフルに活動している。アントワープとラカンブル、日本人と台湾人といった異なるバックグラウンドを持つ2人のデザイナーに、ファッションデザインの今を聞いた。
2人のファッションデザインは、坂部さんがトータルのコンセプトを考え、ジェンファンさんが、それを消化し自分の感情を入れながら、服のディテールに落とし込むというプロセスをとっている。坂部さんは服を作るとき、街を歩いたりテレビを見たりしながら、今の世の中で何を求められているか? とアンテナを広げるのに対し、ジェンファンさんは、今自分は何が着たいのか、と内側に引き寄せるという。
ビッグメゾンからキャリアをスタートさせるデザイナーが多い中、東京をベースに当ブランドを立ち上げたのは何故だろうか。ミキオサカベにとってのファッションデザインとは? と問いかけると、「人としてのファッションは何かということ」との答え。2011春夏の新作では、今もっとも議論を醸しているアートユニットchim↑pomとのコラボという形で、タブーにふれるアイコンを散りばめ、センセーショナルなパフォーマンスを繰り広げた。ファストフードとファストファッションをかけたマックのモチーフはまだしも、キリストの磔刑(十字架にかける刑罰)は、ファッション界に君臨するユダヤ人にとってタブー。年長のファッション関係者から忠告を受けたという。逆に言えば、ここまで表現できるのは、自分のブランドの強みである。

新作には、台湾の飲食店などでよく見かける「福」という文字の刺繍や、お祭りのときに若者が被って踊ることなどで知られる神、獅子がTシャツのモチーフとして使われている。ジェンファンさんのルーツである台湾、そしてタイやインドネシアのデザイナーたちとの交わりなど、ミキオサカベにとって、アジアは欠かせない要素。その2人に日本と台湾の違いは? と尋ねると、「福の刺繍を黒で刺繍したり逆さにするのがNGだったり、台湾の人には、信仰のような“心”があると思います。ジェンファンの家族もそうだけど、よく手を合わせているんです」と、いい意味でのコンサバな面が目につくようだ。「日本は、ホンネと建て前があって複雑。台湾はもっとダイレクトに言う」と、ジェンファンさんは、コミュニケーションの取り方の違いを指摘した。

ブランドが要とする東京のストリートファッションについては、「理屈がない。ユニセックスの服が多いのも特徴」と、坂部さん。「デザイナーのオリジナリティが弱い」と、ジェンファンさんも付け加える。さらに、坂部さんは、「東京ストリートの強みは深く考えないこと。行き詰まっているヨーロッパのファッションより日本のほうが突き抜ける方向が見えています」と、はっきりと断言した。
今回のインタビューから、ミキオサカベのクリエーションのキーワードとして、「パワー」という言葉が浮かび上がってきた。何より2人は、リラックスして心からファッションを楽しんでいる。トップデザイナーが、長引く不況を嘆いて顔色をくもらせているのと対照的だ。坂部さんは、厳しい状況をプラスにさえとらえている。「今の時代だから、気鋭のアーティストとデザイナーが歩み寄れる。少し前だったらなかなか難しかったこと」。ミキオサカベは、ファッションというジャンルを越えてメッセージを発信し続けていく。
photo / ikuko hirose, text / asuka shibata
台北最古の問屋街である迪化街。まるで遥か昔の台湾に迷い込んだような気分になるこのエリアで、70年以上もの間、今も尚現地の人々に愛されている老舗洋食店ボレロ。その佇まいは、まさにレトロモダン。店内のインテリアは当時のものが残されており、赤い絨毯やシャンデリア、そして蝶ネクタイをしたウェイターのスタイルが、逆に新鮮に感じられる。創業当時から変わらぬ味を今も守り続けている台湾洋食を堪能してみては?
address:台北市民生西路308号
tel:(02)2556-0710
time:10:00~22:00

通化街と臨江街の交差点から基隆路方向に広がる庶民的な夜市。台北の四大夜市の1つである臨江街観光夜市は、地元の人から『通化街夜市(トンホァジエ・イエスー)』とも呼ばれ親しまれている。この夜市は、カットフルーツやスイーツ類などの店が多く、甘い物が大好きな女性にはたまらない。また夜市としては珍しく、朝方には数多くの食材をそろえる朝市が開かれている。夜と朝の市場の顔を見比べ見るのも面白い。
address:address:臨江街観光夜市
time:18:00頃~25:00頃

高級エリア東区に新しくオープンしたBELLAVITA。その2階にあるのが、commons&senseの佐々木香さんプロデュースのショップ『03』。店内は近未来的なカラーと、暖かい木の木目、そしてヨーロピアン調といった全くタイプの異なる質感を上手く融合させた空間造りで、現代の東京ファッションを発信。50種類以上の日本ブランドをセレクトしているだけではなく、ヴィンテージやオリジナルなども今後展開予定。
address:台北市信義區松仁路28號
tel:(02)8729-2767
time:Weekday 10:30~22:00/Weekend 10:30~22:30
text / mizuho morita

2010.10.27
光の森で「冬軽」の美食を楽しむクリスマスはいかが?

2010.11.10
今こそ感じたいファッションのパワー10