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近頃は、ワイン、焼酎、ビール、スコッチなど、特定のお酒へのこだわりを特徴にする店が増えている。その日、その時の気分に合わせて、飲みたいものは違うもの。だとしたら、「お気に入りのあれが飲みたい」という時に、立ち寄ることの出来る“いきつけ”をいくつか持っておきたい。
夜のゆったりとした、ひと時を過ごすための“after”なお店には、インテリアや心地よいサービスとともに、その店に行く理由というものがぜひあって欲しい。その店にしか存在しない心地よさ、その店にしか感じられない親しみ、そしてもちろん、その店にしかないお酒…。そんなこだわりを持つ人にぜひお薦めしたいのが、銀座「幻の桜」だ。地下に続く階段を降り、重みのある引き戸を開くと、木製カウンターの芳しい香りが迎えてくれる。
オーナーにしてマスターの井口氏がひとりで切り盛りするこの店は、彼が学生時代に始めて以来、16年にわたり好事家たちに愛され続けてきた噂のバー。その理由の一つは、彼が海外からオークションなどで買い付ける特別なお酒。1896年に蒸留されたスコッチウイスキーや、1919年に作られたジン、禁酒法時代のウイスキーなど、通をうならせる品揃えを誇る。年代物のお酒はグラス1杯 ¥5,000からとややお値段ははるものの、ひとくち含めば、時代を飛び越えロマン溢れるひとときを味わうことが出来るのだから、一度は試してみたくなってしまう。
(右)オーナーのこだわりによって集められたアンティーク・グラス。現代の技術をもってしても再現できないという繊細なつくりが魅力。18、19世紀に作られたものとか。
もちろん、手ごろなお酒も揃っている。特におすすめなのは、オーダーを受けてから旬の果物を絞って作ってくれるとびきりフレッシュな季節のフルーツカクテル( ¥1,000~ ¥1,500)。
口当たりもよく、ついついお代わりしたくなる美味しさだ。
お酒はすべて、オーナー自ら集めたというアンティーク・グラスで供される。お気に入りが見つかったら、いつも同じグラスにお気に入りのお酒を注いでもらうというのもいい。
ところで、この店のご主人は占いにもかなり通じているとか。
女性ひとりでふらりと立ち寄った際には、誰にも言えない悩み事を打ち明けてみれば、相談に乗ってくれる可能性もあるという、不思議な魅力もある店だ。
( text /
jun makiguchi
photo / pawel jaszczuk )
▲1919 年に作られたオールド・イングリッシュ・ドライ・ジン(左)。 1896 年に蒸留されたスコッチウイスキー(右)。ラベルやボトルに、年季が長い時の流れを感じさせる。シングルで ¥6,000 ~ ¥7,000。
▲禁酒法時代のウイスキー。1920年代、薬として発売されていたもの(左)と、1934年に仕込まれたもの(右)。シングルで¥5,000~。
オープン当時は三軒茶屋にあった店を、銀座に移し、今の場所に落ち着いたのが2003年の11月。その際に選んだカウンター用の木材探しには、素敵な偶然の物語が。さらには、2つ1セットで購入したアンティーク・グラスと全く同じデザインのグラスに後日偶然出会ったという話も。実は、もともとそれらは3つで1セットだったのだということが判明したとか。不思議な縁によって集まってくるものが多い店。あなたがそこへ足を踏み入れるのも、何かの縁ということなのかも。
幻の桜
中央区銀座8-7-20 ジョイビル地下 03-3574-8723
営業時間:平日20:00~27:00、土20:00~24:00、日・不定休
チャージ、サービス料なし
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