作品の味わい方にもいろいろある。例えば、あなたが一つの作品を鑑賞したとき、きっとすぐに率直な感想を頭に浮かべることができるだろう。しかし、同じ作品を他の作品と比較してみると、時間は少しかかるかもしれないが、その作品の良さをより鮮明に感じとることができたり、「どちらの作品がどのように素晴らしいのか」といったポイントを見つけることもできるだろう。
(写真上:表示順)唐獅子図 曽我蕭白筆 三重・朝田寺蔵(重要文化財)*一部、仙人掌群鶏図襖 伊藤若冲筆 大阪・西福寺蔵(重要文化財)*一部

日本東洋美術研究誌『國華』の創刊120周年を記念して開催する本展では、日本美術を代表する絵師や仏師、陶工らを2人ずつ組み合わせ、比較、すなわち「対決」させる形で紹介する。
対となるのは、室町時代の代表的な水墨画家、雪舟等楊と彼に続いた雪村周継、安土桃山時代に天下人の御用を激しく争った狩野永徳と長谷川等伯、琳派芸術の原点となった俵屋宗達と、彼に私淑しそれを発展させた尾形光琳、江戸中期に現れた鬼才の双璧、伊藤若冲と曽我蕭白、最後の文人画家と呼ばれる富岡鉄斎と近代画壇の重鎮となる横山大観ら12組。国宝10余件、重要文化財約40件を含む計100余件の名品が一堂に東京国立博物館に会す。
(写真左)慧可断臂図 雪舟等楊筆 愛知・齊年寺蔵(国宝)
(写真右)呂洞賓図 雪村周継筆 奈良・大和文華館蔵(重要文化財)
展示期間:7月8日~7月27日
師匠や先達の作品に学び、時にはライバルとして切磋琢磨し合う中で生み出されてきた傑作の数々。直接の関係がない場合でも、優れた芸術家たちの作品を比較すると、興味深い対照の妙を発見することができる。
(写真:左から)風神雷神図屏風 俵屋宗達筆 京都・建仁寺蔵(国宝)、風神雷神図屏風 尾形光琳筆 東京国立博物館蔵(重要文化財)
展示期間:8月11日~8月17日
たとえば、この2つの「風神雷神図」に、あなたはどのような印象を持つだろう。画面が狭いと言わんばかりに勢いある動きが感じられる宗達の二神。一方、宗達の風神図を模したと言われる光琳の二神は、視線を合わすような安定感ある構図に配されている。また、鮮明な線で描写された表情から、勢いとは対照的な、柔和な印象を感じさせる。琳派を代表するこの2人の巨匠、その活躍した時代は約100年も隔たっているというから驚きだ。
円山応挙と長沢芦雪が描いた虎からも、その作風の違いを大いに楽しめる。1,000人もの弟子を抱えていたと言われる応挙の高弟子だった芦雪。その才能は異彩を放ち、表現主義的でマニエリスティックな作品とも言われている。師弟関係にあるこの2人の虎図、応挙は虎や豹(虎の雌として描かれる)の様々な形と、その色鮮やかな毛に見られる卓越した筆づかいで猛々とした気迫を放つ虎を、一方芦雪は、今にも飛び出してくるような躍動感溢れる虎(*)を生み出した。
*虎は3mを超え、日本で最大の虎画と言われている
(写真上)虎図襖 長沢芦雪筆 和歌山・無量寺 串本応挙芦雪館蔵(重要文化財)
(写真下)猛虎図屏風(左隻) 円山応挙筆 個人蔵
そのほか西国に活躍の場を見出した雪舟と、独学で自らの絵画世界を完成させた雪村との対決、18世紀京都画壇に忽然と登場した前衛画家、若冲と蕭白の衝撃的なアイデンティティが繰り広げられる作品対決なども見ごたえ十分。教科書に見るような巨匠たちの名前が並ぶ「対決-巨匠たちの日本美術」展。もはや決着など、つけられそうにない程の激しい戦いぶりを、あなたの目で確かめてみてはいかがだろうか。
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創刊記念『國華』120周年・朝日新聞130周年 特別展
「対決−巨匠たちの日本美術」
会期: 2008年7月8日(火)〜8月17日(日)
定休日:月曜日
時間:9:30-17:00(金曜は20:00まで、土曜・日曜・祝日は18:00まで開館)
会場:東京国立博物館 平成館
Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催:東京国立博物館、國華社、朝日新聞社
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