私の中で元カレの位置づけは微妙だった。
「過去の人」と片づけてしまえるほど割り切れず、名前を見ただけでも悔恨となつかしさと恥ずかしさが混じり合った複雑なものが胸をよぎる。
そんな私が勇気をふるいおこして元カレに連絡をとってみたのである。それもこれも本書を翻訳して、「元カレに会ってみたい症候群」にかかってしまったからだ。
著者のスーザン・シャピロはニューヨーク在住の人気女性作家で、売れっ子放送作家の夫とキャリアに恵まれて順風満帆の「勝ち組人生」……のはずなのに、結婚5年目で子どもが生まれず、小説が売れないために鬱々とした日々を送っていた。
著者は欲張りなのだ。でも欲張りじゃない女なんてこの世にいます?
それはさておき、そんな彼女の心の隙間を探りあてたかのように、十年前に別れたきりの元カレが電話をして「会おうよ」なんて言う。動揺のあまりあたふたする著者。
わかるわぁ! 私も元カレにメールを打つ手がふるえたもの。
そして著者がわかったのは、元カレに会うのは沈滞気味の人生を活気づける妙薬だということ。
5人の元カレに会うたびに胸にくすぶっていたものがしだいに晴れていき、自分の選択はまちがっていなかった、手ひどくふられたけれど、いい恋をしてきたのだと思い直すことができた。

で、私は元カレに連絡してどうだったかって? うふふ、ナイショです。
ひとつだけ言えるのは、平凡な毎日には相当の刺激になりました。いまの生活になんとなく不満を感じている人。この人とつきあっていていいのかしらと不安のある人。つぎの一歩を踏み出す方向に迷っている人。
そういうかたはぜひ本書を読んでみて。きっと前を向く勇気がわいてきます。
(text / motoko jitukawa)
『私をふった5人の男 元カレをめぐる旅』
スーザン・シャピロ/著 実川元子/訳
早川書房 ¥1.680(税込)
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