「自分の中の女が枯れてきている」――40代半ばだったころ、著者の光野桃さんは「水気を失ったカサカサした枯れ枝」のようになっていくような危機感を持っていた。そんなとき、「からだの使い方を指導するインストラクターの方とともに、山歩きをしながらからだのことを考える」という仕事の企画を引き受け、それがきっかけでそれまでの「からだ観」を大きく変える。
がちがちにこわばったからだを「ゆるめる」。まっすぐに、でもからだに余計な負担をかけることなく自然に「立つ」。膝から下だけを動かすのではなく、重心を移動するように「歩く」。そして、自分のからだに「ふれる」。そんな単純な動作が、実はとても難しく、からだとコミュニケーション・インストラクターの齋藤まちさんとともに光野さんは一つひとつ訓練しながら学んでいく。
そのレッスンを通して、仕事に、家庭に、そして人生そのものに、つねに緊張感を強いられ、からだに無理を強いてきたことに光野さんは初めて気づいた。
光野桃さんは、ファッションやスピリチュアルをテーマにした著書を多数執筆し、女性たちを勇気づけ、生きるヒントを与えてくれるエッセイを数多く書いている。仕事ではもちろん、プライベートでも手を抜かず、写真で見てもいつも華やかで凛とした雰囲気を漂わせている光野さんが、からだとこころの齟齬に悩み、人と会うことに恐怖をおぼえていた、というのはちょっと衝撃だった。そしてまた、落ち込んだ状態から、からだを再生することで心も立ち直らせていく、というところに勇気をもらった。
「女性は子どもを産む機械」なんていったトンでもないおじさんがいたけれど、私たちは少なくとも擦り減ったら廃棄されるような機械ではない。それに、女性のからだは子どもを産むためだけにあるのではない。

本書を読めば、生涯を通して、自分のからだを愛しみ、からだに自信を持ち、「使えるからだ」にするためのメンテナンスを怠らないでおこう、という気持ちがきっと湧いて来るはずだ。長く眠っても疲れがとれない。ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまう。朝、鏡をのぞいたときに目の下にクマができている。そんな女性は、本書で紹介されている「立ち方」と「丹田育て体操」を参考にしてみたらいかが? 少なくとも私には効果がありました。
(text / motoko jitukawa)
「感じるからだ」
光野桃著
文藝春秋/¥1,500
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