かく着る人を選ぶ服が多いこの世では、「BLESS(ブレス)」の服は革新的と言えるかもしれない。コンセプトはボーダーレス。ターゲットは17歳から 67歳。サイズ展開は34(9号)からオーバーサイズ。オーバーサイズで、スカート以外のすべてのアイテムがユニセックス。着る人それぞれの内面が立ち現れてくる服なのだ。
(写真上)2008-09年秋冬コレクション発表の模様。ランダムに置かれたイスの周りをモデルが歩く、通常のキャットウォークとはひと味違ったプレゼンテーションを見せた
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着る人によってシルエットが変わり、その人らしさが際立つというのがデザインの基本。その際たるものが、2004年秋冬より毎シーズン素材違いで発表される定番“hoodcoat”だろう。同じデザインなのに、男性が着ればシンプルでシャープな印象に、女性が着れば優しいラインが強調されるという摩訶不思議な魅力を持つ。ここにはまさに、着る人の魅力を引き出し、内面に光を当てようとするデザイナーたちの意図が見え隠れする。
(写真左)2004-05年秋冬の登場以来、毎シーズン好評の“hoodcoat”。2004-05年秋冬コレクションより
デザイナーはドイツ出身の二人組、デジレー・ヘイズ、イネス・カーグ。ファッションスクール在学中に出会い、1997年にレーベルを結成。始まりは、前年に二人が有名誌に買い取った1ページ広告。そこに掲載されたのは、リサイクルのリアル・ファーを使って制作したウルフカット風の“ファー・ウィッグ”。
デビュー作だったにも関わらず、パリのセレクトショップコレットから発注を受けたり、メゾン・マルタン・マルジェラのファッションショーでアクセサリーとして使用されるなど、大きな反響を得て好調なキャリアをスタートさせた。2003年の秋冬からは、本格的なコレクションを続けており、現在はパリコレクションに参加している。
ブランドが持つボーダーレスの精神を反映して、コレクションに起用するモデルは、年齢、性別、人種もさまざまなブランドが持つボーダーレスの精神を反映して、コレクションに起用するモデルは、年齢、性別、人種もさまざまなアーティストや友人たち。どんな人にでもフィットするリアルクローズ、誰にでも身近で日常に溶け込むもの、という服作りのコンセプトをわかりやすく打ち出している。
2008-09年秋冬(コレクションNo.33)のテーマは、“EPERFECT VERYTHING”。“PERFECT EVERYTHING”をもじった造語だ。急いでタイピングをしたとき、うっかりとタイプミスを見過ごしてしまった経験は誰にでもあるはず。そこから転じて、“ぱっと見るとありそうなのに、よく見るとミスマッチ”をコンセプトに、ニットキャップとハットが一緒になった帽子、バッグのついた靴、ソックスと一体化したタイツ、カーペットのついたカーディガンなどユニークな商品を発表。コラボレーションにも積極的で、今季登場しているラングラーやアランミクリとのアイテムも見ているだけで楽しい。
遊び心とひらめきに満ちた天才肌のデジレーとイネス。今では、それぞれがパリとベルリンと、拠点を別にしながらも、ファッションをベースとしたアクセサリーやインテリア・プロダクト、家具、家電、映画、工夫のある便利グッズのようなものまで、ジャンルにこだわることなく発信し続けている。2006年春にはミラノ・サローネに初参加し、これまでのインテリア・プロダクツをまとめて発表し、好評を博したことも記憶に新しい。
既存の枠に収まりきらない活動、斬新な発想で繰り出される商品、毎回趣向を凝らしたインスタレーションのようなショー、その模様を写真でまとめた LOOK BOOKなどが話題となり、アート界からの注目度も非常に高い。オランダの美術館で回顧展が開催されるなど現代アーティストとして高く評価する向きもあるが、それでも彼らはアーティストとしてではなく、あくまでも“日常性”に近いデザイナーであることにこだわり続けている。
(写真左)日常の中で隠すべきものとして扱われるケーブルを、あえて見せるインテリアとした“Cable Jewellery”
「私たちはファッションでのモノ作りを大切にしています。ブティックのウィンドウならあらゆる人が見てくれるけれど、場所が美術館だったら、限られた人しか見に来てくれないから」
(text / june makiguchi)
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(写真右)デジレー・ヘイズとイネス・カーグの似顔絵。「デザイナーより作ったものを見てほしい」との思いからポートレートは公にしない
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