体の動きに合わせてしなやかに揺れるニット。繊細な花模様をボディに浮かび上がらせる第二の皮膚のようなボディスーツ。そして、ニットらしいフィット感とフレア感を見事に組み合わせたコーディネイトの数々の登場―――。
昨年、「秘密の花園」をテーマにしたSOMARTAの2007春夏コレクションでそれらを目にした者たちは、東京のファッション業界に新星が現われた瞬間に立ち会ったことを実感したに違いない。服というより、体の一部であるかのような滑らかさを持ったファッションは、明らかに東京コレクションに新風を吹き込んだ。
(写真上右)プロテアンコルセット \4,185,300 2007-08年A/Wコレクションより。プロテアの花を真鍮製の甲冑で表現
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2回目のコレクションとなった2007秋冬も、そのときと変わらない新鮮さと驚きを与ええくれたSOMARTA。デザイナー廣川玉枝さんは、イッセイミヤケで8年にわたりコレクションラインであるメンズ及びレディースの各部門でニットを担当。そこで、縫い目のない第二の皮膚ともいえる無縫製ニットに出会ったという。動きやすく、体に沿うような一体感のあるしなやかな着心地はもちろん、糸から選んで生地をじっくり作りこみ、形まで自由にデザインできるフレキシビリティと無限に広がる可能性の虜となった。
「AとBという違う糸をより合わせたり、AとA、BとBを組み合わせたりと組織を変えることはいくらでもできる。編み方を変えれば見え方が違ってくる。変幻自在なんです。ミシン縫製は研究し尽くされていて、今ではデザインを変えていくだけ。流行に縛られる宿命にあるんです。でも、無縫製ニットは製法が開発されて10年ほどと、ファッション史の上ではまだ日が浅く、可能性に満ちている。変幻自在、そこが魅力ですね」。
(写真左)クリーム色ニットワンピース \47,250
(写真左):接結レース上下ワンピースドレス チュニック \98,700、スカート \81,900
2006年、流行に左右されずにニットの魅力を追求していきたいと独立。同3月には初コレクションでデビューを飾った。1年目のテーマは、大好きな小説からインスパイアされた「秘密の花園」。春夏、秋冬の2回のコレクションで、違った表情の花園を表現した。テーマが1年間変わらないというのは業界では極めてユニーク。「春夏、秋冬の2つのコレクションを同じテーマでやりたかったんです。
一度やったテーマを崩して再び作り直すのも面白いかと思って。長い期間かけないと表現できないものもあるし、それでこそ花開くアイディアもある。1年あればもっと追求できるのにと思うテーマもある。ころころ変わるものではなく、イメージを変えずに新鮮味を出すかがポイント。春夏の花園と秋冬の花園は違うはずですから」
(写真左)2007年S/Sコレクションより
(写真右)「秘密の花園」を描いたワンピースドレス
無縫製ニットの自由さと同様に、そのデザイン・スタイルも既存の概念に縛られることのないSOMARTA。変幻を恐れないブランドの姿勢は、すでに確立された個性に裏打ちされているのかもしれない。そんな確立された個性を象徴しているのは、“全身タイツ”と呼ばれて親しまれている美しいボディスーツ。「繊細な柄が好き」というデザイナーのこだわりが反映されたスーツは、美しいボディラインの上でこそ、ため息が出るほどのデリケートな図柄が浮かび上がる。
「最初のコレクションではレースの花模様だったので、次は何か別の表現方法にしたいと思い、スワロフスキーのクリスタルを付けました」。 光を受けてキラキラと輝くそのスーツは、一体感のある着心地といい、体の曲線美を最大限に表現できるスタイルといい、まさに究極のファッションだ。
着る者をゴージャスな花そのものに変えてしまう。確かに、それを着る人はプロテアの花(ギリシア神話に登場する変幻自在の海の神、プロテウスに由来)なのだというのが、このスーツのコンセプト。
「美しさはそのままに、姿をいかようにも変えられる花、金属に氷にと皮膚の感じを変えていく花をイメージしています。今後も、ボディスーツはSOMARTAの定番として、毎シーズン新しい表現を追加していきたい。イメージがころころ変わっていくのではなく、時がたつにつれて徐々に変化していくようなものを作っていきたいですね」
(text / june makiguchi)
(写真左):スワロボディースーツ \3,378,000(参考価格) ※以上、価格は全て税込
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