何本あっても飽きることがない、ワードローブの定番、デニム。流行のシルエットや素材感などが目まぐるしく変化しているが、これから台頭してきそうなのが、社会的なフィロソフィーを持った“エシカル”なデニム。食品、コスメでは、ナチュラルでオーガニックな素材を使ったものがすでに確固たる地位を築いているが、デニムにもその流れがやってきている。化学製品や薬品を大量に使って生産するケミカルなアイテムの代表格、とされがちなデニムのあり方を根本から変えてしまうかもしれないのが、KOhZO DENIM(コーゾー・デニム)だ。
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このブランドは、デニムのメガブランド、リーバイスでヒット作を生み出し、エドウィンなど名だたるブランドでアドバイザーとして大活躍してきたカリスマデザイナー、コーゾー・ショウケット・イマム氏が90年代後半に設立。原料から、染料、製造過程、そして履き心地にとことんこだわり抜いたナチュラルなプレミアムデニムのブランドだ。名前の由来は、洋服の素材としても優れている和紙の原料「楮(こうぞ)」。自然素材へのこだわりと、自然と共存する文化を持つ日本の伝統へのオマージュが込められており、ブランドロゴにも“日出ずる処”と称される日本をイメージした日の出があしらわれている。
(左写真)デザイナーのコーゾー・ショウケット・イマム氏は、日本人とスイス人のハーフ。
スイスを本拠地としながらも、生産はコーゾー氏の母の故郷でありデザイナー自身も6歳まで過ごしたという京都と、デニムの産地として世界的名声を誇る岡山で行う。規制の多い先進国ではもはや大量生産はできないと、多くのメーカーがアフリカや南米、アジアなどの途上国で生産させているのが実情。だが、ソマリアでの3年間にわたる経済支援活動に参加し、そんな現実に疑問を抱いてきた彼は、「エコを徹底させた高品質のデザイナーズデニムを作りたい」という想いを自身のブランドで実現。大量生産とエコとの共存を証明したいと、最も信頼でき、環境基準の厳しいスイスと日本を拠点に選んだという。
骨太な使命感から生まれたデニムは、素材の質や生産過程、製品の製造プロセスの細部に至るまで、徹底的に環境や人権に配慮。他に類を見ない、身体にも環境にも、そして心にも優しい履き心地が魅力だ。
素材として最も多く使われているのは、品質も価格も最高峰といわれるジンバブエコットン。高地で育つため虫がつかず無農薬で栽培でき、手摘みなので、繊維を壊さず長いまま収穫できる。そのため、製品の安全性としなやかさは極上だ。生地には他に、和紙、クマザサ、米沢シルク、アイリッシュ・リネン、イタリアン・ヘンプなど、コーゾー氏自身が各地を巡って惚れ込んだもののみを採用。もちろん、すべてウォッシャブルだ。野菜、柿渋、墨、塩、鉱物、粘土などを用いて生地に独特のナチュラルな色味を出したり、レジン(松の樹脂)をコーティングに使ったりして、素材感の面白さ、機能にもこだわる。デニムに欠かせない藍も、貴重な北海道産と沖縄産の上質ものを使用。また、材料ばかりか、生産過程に使うエネルギーも、化学製品の使用も最小限に留める努力を惜しまない。
(右写真)ベーシックなコットンラインには、最高峰の品質を誇る高級ジンバブエコットンを使用。農薬を使わず環境にも優しい。手積みで収穫されたしなやかな綿で織られるので、柔らかい履き心地を実現。
そんなフィロソフィーだけでなく、履いたときの美しさも極上なのが嬉しい。レディースに関しては、特にスタイルを重視。ストレート、スリムストレート、ブーツカット、ワイドストレートの4型を基本に、ハイブランドのボトムスにも負けないデザイン性で、エレガントなジャケットと合わせても、カジュアルにまとめてもOK。いかなる場にも纏えるデニムづくりを行っている。
コーゾー氏は70年代後半、1938年に誕生したオリジナルの“501”の伝統に、モダンテクノロジーを融合させ新しい501時代を築きあげた経験を持つ人物。英国でテキスタイルエンジニアリングとファッションを学んだ背景も持ち、素材とスタイル、履き心地を見事に調和させる才能が妥協なく発揮されているのだ。それは初めて履いたときにすぐわかる。長年履いてきたかのような“馴染み感”、こだわりの良質素材だけが作り出す羽衣のような軽さはぜひ一度体験して欲しい。
国籍、文化に関係なく世界でおよそ70%の人がデニムを1本はもっているという今、コーゾー氏は「デニムを通してエコ思想を広めたい」と話す。真似は大いに歓迎する、とも話しているだけに、KOhZO DENIMが大きなムーブメントを巻き起こし“世界を動かすエシカルデニム”のパイオニアとして認知される日はそう遠くはないだろう。
商品の良さは当然ながら、今やその商品が何からどう、どのような主義のもとで作られているかということも商品を選ぶ大きなポイントとなっている時代。KOhZO DENIMデニムはファンションとエコの関係について、真剣に考えるきっかけになってくれそうだ。
(text / june makiguchi)
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