cinemaがんばってる女は、ヨタヨタのぴよぴよ。

ペンギンの赤ちゃんはふわふわでヨタヨタ、その上のろのろだ。
かなり危なっかしく、だが自分の危なっかしさにまったく気づきもせず、ぴよぴよ状態で動き回る。
それはキミのママじゃないぞ、おいおい平地ですっ転んでどーする、遠くに行っちゃダメだってば、そっちにはキミを食おうとしてるでっかい鳥がいるんだよ……とまあ、ハラハラしっぱなしの映画『皇帝ペンギン』。

そのかわいさが働く女性にバカ受けしそうな映画である。働く女は男社会でナメられてたまるかと突っ張って生きているところがあるので、その埋め合わせをするかのように、ハマりがちなのだ。コテコテな女の子的琴線に触れるものに。

実際、ペットのトイプードルに赤ちゃん言葉で頬ずりするバリバリの営業ウーマンとか、服は猛烈に地味なのにピンクのフリフリ下着が大好きな女性教師とか、周りにリアルに存在している。名前を言えば誰もが知ってる某女性キャスターだって、実は家に山ほどぬいぐるみを持ってるらしいし。

だがそういう彼女たちに、口さがない人々は言う――柄にもなく、と。
かく言う私はふわふわしたものが好きなのだが、そこまでキャリアウーマンでもそこまでラブリー趣味でもないのに、時としてそう言われてしまう。フリフリ下着好きとかぬいぐるみまみれなんて「柄にもなく」の大合唱に違いない。
でも、仕事上で大人に(時には男に)なることを強いられてる彼女たちは、自分の世界ぐらい存分に正直に生きようとしているのだ。

そもそも「人間は矛盾の束」だから、見た目も中身もすべてラブリーな女なんていない。いるとすれば女側の演出だ。
バリバリがんばる女のラブリー趣味は、その対極。彼女たちは“素直になれない”と“自分の心に正直”の両極端からできている。そのアンバランスさはぴよぴよのヨタヨタぶりと同様のかわいさだと思うのだけど。
(text / Shiho Atsumi : 渥美志保blog 無意味でおバカな笑いをあなたに…)
CINEMA INFORMATION
(The Emperor's Journey)
監督:リュック・ジャケ
声の出演:ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリングほか
配給:ギャガGシネマ
劇場情報:7月16日より恵比寿ガーデンシネマにて先行、7月23日より全国にて拡大公開

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