『ふたりの5つの分かれ路』は、あるカップルの5つのエピソードを通じて“別れる理由”をあぶりだしてゆく物語だ。映画は時間を遡ってゆく斬新な構成で、冒頭で描かれるのは離婚手続き。その足で安ホテルに入ったふたりは“最後のセックス”をするために服を脱ぎ始める。多くの女性にとって「ありえない」この展開を望んだのは、離婚を言い出した妻である。ふたりは別居して久しいが、いまだに本気になれそうな相手は見つからない。小学生のかわいい息子もいるし、そもそもが保守的な夫は離婚を望んではいない。そんな中にあってなお妻がこの“儀式”を望んだのは、思うに、たったひとつの理由から。本当に別れて正解か――その最終確認がしたかったのだ。
人間の身体がぶつかり合う肉弾コミュニケーションは、現代社会ではケンカを含む格闘技とセックスぐらいである。言葉のコミュニケーションとの違いは、かなり面倒くさいし疲れること。1日に見知らぬ100人と話せても、その全員を倒すのはちと厳しい。身体のコミュニケーションには特定の相手への目的や強い願望が必要で、それを実現するための能動的な行動が欠かせない。その上、言葉の意思疎通のように互いの思い込み(「伝えたつもり」&「分かったつもり」)による幸せな結末はありえないから、勝負は相手の肉体感覚をいかに汲み取れるかにかかっている。 |