50年代に一世を風靡した2人組のスター、モリスとヴィンスがコンビを解消するきっかけになったのは、彼らが宿泊するホテルの部屋で発見された女性の全裸死体。『秘密のかけら』は、 15年後の70年代を舞台に闇に葬られたそのスキャンダルの真相を探ってゆく。
ひとつの秘密を守るための多くのウソは、時としてさらに大きな秘密を作り出してしまうものだが、この事件の出発点はコリン・ファース演じるヴィンスが隠す、当時の芸能人としては致命的な性的嗜好――つまり彼はゲイだったのである。映画で明らかにされるいくつかの秘密の中で、彼の告白はタイミングといい方法といい最悪だ。アトム・エゴヤン監督の変態ぶりが伺える見せ場なので詳しくは映画で楽しんでもらいたいが、あまりに場当たり的で考えなし、その秘密の深刻さと状況の滑稽さのギャップが笑いさえ誘う。ブリジット・ジョーンズの理想の彼とは思えないスゴいシーンなのだ。
さておき、悩ましいのは秘密である。多くの秘密はその内容が本人の羞恥心と関係している。つまり一般常識(と思い込んでいるもの)と照らし合わせて、本当の自分を恥ずかしい、不道徳だと感じている。たとえば恋人でも友人でも(時には肉親でも)出会ったばかりの頃――つまりまだカッコつけたい頃――は隠したい。だが関係が深まると、不思議と告白したいに変わってしまう。秘密を隠すためにウソをつく罪悪感にさいなまれるし、本当の自分で生きたいと思い始めるのである。逆に告白される側からすれば、内容によっては相手を見る目が激震する。 |