ある妻帯者に愛人がいることが発覚する。さて一番悪いのは誰か。立場によっていろいろな意見もあろうが、こういう場合は感情を廃して考えると分かりやすい。結婚はある種の契約、夫は妻との独占契約を破って“別の業者”たる愛人と契約外取引をしたということである。契約違反を犯した夫に妻が怒るのは当たり前、愛人への怒りもまあ理解できる。愛人は「オタクの商品に、魅力がないからでしょう」と言うだろうが、これは理由にならない。だって独占契約なんだから。とはいえ夫は“別の業者”に言っているのだ、「あっちの業者とはもうずっと取引がないし、事実上契約切れも同然」とか「近々、独占契約が切れる予定なんだよね」と。これがホントならまだしもたいていの場合がウソであり、となればやっぱり一番悪いのは契約違反をした男である。
だがこれが戦いに発展した場合、なぜか戦っているのは妻と愛人である。そして男の争奪戦から始まったにも関らず、直接対決で男とは無関係の憎悪が生まれてしまう。妻が愛人を「この泥棒ネコ、売女、スベタ、ノータリン!」と昭和満点に罵れば、愛人は「欲求不満のオバハンのヒステリー」とか若さを前面に妻をあざ笑ったりして、戦いは本題から離れて激化する。こーなると泥沼だ。最初の原因が冷静に認識できなくなると、ケンカは収拾するきっかけを失ってしまう。 |