
|
|
|
ベートーヴェンは頭はボサボサで風呂嫌い、自分勝手で偏屈で言いたい放題の毒舌家である。傲慢で自分は神だと言ってはばからず、階下が水浸しになるのも構わずに部屋で水浴びし、気に入らなければ誰彼構わず公衆の面前で罵倒する。彼にコピスト(楽譜の清書屋)として雇われた音楽学校の優等生アンナは、その変人ぶりに振り回される。「お前の曲はオナラだ!」とケナされ、恋人との仲をぶち壊され、その変人ぶりに徹底的に泣かされると同時にベートーヴェンに猛烈に愛され、結局彼を看取ることになる。『敬愛なるベートーヴェン』の話はフィクションだが、美女と野獣カップルの物語としてなるほどと思わせるものがある。 ![]() だが問題は“野獣探し”。音楽家が宮廷に囲われるのが当たり前だった19世紀に、自由と孤高を貫いたベートーヴェン。収入の半分以上を食べ物と後輩へのおごりに費やすというキム兄。外側だけじゃ単なるばっちいオッサン、中身の破天荒さがなければ野獣とはいえないのだ。ところがこれがなかなかいない。たとえば給料のほとんどを大好きな趣味につぎ込むOLや、男以上にバリバリと仕事を楽しむ30代女性の周りには、“家畜”みたいな男ばっかりである。なぜって、その辺で一番強くて自由な野獣、それはたぶんアナタなのだから。 (text / Shiho Atsumi ) 監督:アニエスカ・ホランド |











