華麗なる恋の舞台で
楽しく生きるための、ブレイクスルー・オブ・「いい年こいて」

「いい年こいて」って言葉を聞くたびに思うのは、“いい年”って何歳? ってことである。例えば「いい年こいて、就職もしないでブラブラして」とか「いい年こいて、お年玉なんかもらって」ってな社会的な場合は、まあだいたい大学を卒業して2~3年とかそんくらいかなと見当がつくが、問題は極めて個人的なシチュエーションだ。例えば「いい年こいてコスプレか!」とか「ヘソ出しか!」とか「ヘビメタか!」とか「ゴスロリか!」とか、まあなんでもいいのだが、そーゆー趣味的分野を楽しむのに“適切な年齢”なんてあるんだろうか。「うちの娘もそろそろゴスロリの年齢だな」とか「若いんだから七三なんてやめてモヒカンにしなさい」と笑顔で言ってくれる大人には会ったことがない。

こういう場合に「いい年こいて」と言う人は、たとえいい年こいてなくてもイチャモンつける人なんじゃないかと思うのだ。30を超えると困ったことに、この手の「いい年こいて」攻撃が激増する。「いい年こいて結婚もしないで」「いい年こいて若い男に色目使っちゃって」「いい年こいてミニスカートはいちゃって」「いい年こいてはしゃいじゃって」とざっぷんざっぷん大波のように「いい年こいて」が押し寄せる。その攻撃をすべてかわすには、頭剃って尼にでもなるしかない。「いい年こいて」を気にしていたら、好きなようになんて生きられるわけがない。

『華麗なる恋の舞台で』の主人公ジュリアは45歳の舞台女優で、「いい年こいて」のカタマリのような人である。親子ほども年の離れた青年トムと付き合い、やがてその恋に溺れまくり、嫉妬してうとましがられ、泣いてすがり、結局は若い女優に奪われてしまう。さらにこの若いカップルは、大人らしく身を引いた彼女をコケにしまくる。そして映画のラスト、「いい年なんだからグッと堪えて……」なんてマッピラとばかりに、彼女はものすごい反撃に出るのだ。そのイジワルさ、その爆笑、ああ、ここには書けないけれどブラボーである。「いい年こいて」から解き放たれた「アタシ万歳!」なその生き方は、素晴らしく爽快なのである。 (text / Shiho Atsumi )

『華麗なる恋の舞台で』

監督:イシュトヴァン・サボー
原作:サマセット・モーム
出演:アネット・ベニング / ジェレミー・アイアンズ / マイケル・ガンボン
配給:アルシネテラン
劇場情報:2007年2月10日よりBunkamuraル・シネマにてロードショー

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