

『主人公は僕だった』を見たら、ヒロイン役でマギー・ギレンホールが出ていた。こんな風にいうのも失礼だが、彼女はぜんぜん美人じゃない。だが売れている女優である。例えばニコール・キッドマンを美人度10でマックスとすると、4から6くらいの普通レベルである。普通レベルだから普通の顔かっていうと、これがまた違って……いや、普通なのかもしれないのだが、なんというか、犬みたいな不思議な顔なのだ。この顔が素晴らしく、ヘンな役を演じればヘンな顔に、モテ女を演じればモテ女顔に、普通を演じれば普通顔になる。『主人公は僕だった』のヒロインは弁護士くずれの菓子職人で、サエない役人の主人公を魅了する、男前でセクシーな菓子職人。いつもながら驚くことに、ものすごく男前でものすごくかわいいのだ。
映画界には美女がわんさかいる。美人度マックスのニコール・キッドマンはもちろん、世界一の美女の呼び声も高いモニカ・ベルッチに、抜群のスタイルを保つキャメロン・ディアス……“美しさ”は彼女たちの商売道具なわけで、ものすごくストイックにものすごく金をかけて、これをキープしているのである。だがそれでもやっぱり『ホリデイ』なんか見ると、キャメロン衰えたな…なんて思っちゃうのは仕方のないこと。そりゃ40過ぎた美しくない女よりは美しいが、20代や30代もわんさかいるのに、美しいだけが売りの40代を使う理由がない。まあここに上げちゃった3人は美しいだけが売りじゃないかもしれないが、まあそれでも40半ばを越えたあたりから、登場する機会は極端に減ってくるに違いない。入れ替わりに台頭してくるのが、マギーのような女だ。

もちろん美しさは10人並み、年もとっているが、そんなことはマギーにとって問題でもなんでもない。だってもともとキレイじゃないのに、美人にもブスにもヘンにもなれるワザを、彼女はもっている。ローカーボだマクロビだジョギングだ早寝早起きだとストイックにキープする必要もなく、魅力的なキャラクターを演じられるのだ。さらにぶっちゃけるなら父親は映画監督で、弟は『ブロークバック・マウンテン』のスター、ジェイク・ギレンホールである。ワザがあり、コネがある。美人もそりゃすばらしいが、私はマギーみたいな女のほうにより憧れてしまうのだ。
そんなマギーは最近結婚し、子供を生んだ。夫のピーター・サースガードは、一番有名なところは『仮面の男』でマルコビッチの息子をやっていた俳優なのだが、これまたレベル4から6くらいのハンサムなんだかそうじゃないんだかわらかない顔で、ワルに引こもりにホモに好青年にと何にでもハマる演技力の持ち主なんだから笑っちゃうね。“マギー”、それは独自路線の生き方、なのである。 (text / Shiho Atsumi )
監督:マーク・フォースター
脚本:ザック・ヘルム
出演:ウィル・フェレル / エマ・トンプソン / ダスティン・ホフマン / マギー・ギレンホール / クイーン・ラティファ
配給:ソニー・ピクチャーズ
劇場情報:2007年5月19日(土)日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー









