年末にすべき大掃除を年始からずるずる始めて、いまだに片付いていない。いつもながら自分にはこりごりだが、さらに驚いたことはなんでこんなもん持ってんだってものがゴロゴロ出てくることだ。いやいや、確かに私はダメな人間だけど、年末の掃除なんてきっとみんなこんな感じなはず。掃除が終わった後には誰もが、山のような“よくよく考えたらゴミだったもの”の前で立ち尽くしてるはずである。そんな中、年が明けて真っ先に見た『レボリューショナリー・ロード』には妙に考えさせられてしまった。レオとケイト・ウィンスレットが『タイタニック』以来の共演を果たした夫婦もので、普通の人なら「ほうほう、夫婦とはこういうもんですか」ってトコだろうが、ゴミ山に取り付かれた私が考えてしまったのは、やっぱり“よくよく考えたらゴミだったもの”のことである。
物語はいわゆる“サバービアの憂鬱”を描いていく。主人公は郊外の住宅地に越してきた若夫婦で、通りで一番かわいい家に住み何の苦労もないけれど、互いに「これがホントに望んでいた幸せ?」とモヤモヤイライラした日々を送っている。時代は50年代で、アメリカが物質的にものすごく満たされていた頃。そういう時代に、“自分だけが持っていないこと”=「おまえんち、テレビもねーのかよー」とか言われることは、人間をものすごくミジメな気持ちにさせる。でも二人はぜーんぶ持ってても(その上、若くて美男美女)、ぜんぜん幸せじゃないのだ。これぞ“サバービアの憂鬱”。物質的にも階級的にも人種的にも横並びのコミュニティで、そこで示される理想の幸せを追うあまり、若夫婦は自分たちの求める本当の幸せが見えなくなっているのだ。私の憂鬱は現在、こういう状況が、まさに我が家に、そして全世界に押し寄せているんじゃないだろーかってことである

例えば『世界ウルルン滞在記』とか見てると、以前は真っ裸で山本太郎あたりに喝を入れてたパプアニューギニアあたりの森の族長が、6、7年たった再会スペシャルでアディダスのボロTシャツとか着たりして、威厳もへったくれもないただの爺さんになっている。モノがあるのは便利だが金がなければ手に入らず、金のためにそれまでの生活を捨てることになった爺さんは、森では族長だったのに町ではホームレスに成り下がる。全世界横並びのグローバリズムは、全世界横並びの幸せを示し、その基準に合わない人間を妙にミジメな存在にしてしまうのである。んでもってそうやって手に入れた幸せが、よくよく考えりゃ大して望んでもいなかったゴミのようなものだった……なんて展開、どーなんだろ。目もあてられないじゃないですか。さしあたって私は、我が家の憂鬱を解消すべく、今年はいらんものは買わない宣言。“風が吹いたら桶屋が儲かる”式に、全世界の幸せに通じてるのだと信じて、よくよく考えたらゴミに囲まれた生活を解消するのである。きっと金もすっごくたまる。かもしんない。(text / Shiho Atsumi )
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『レボリューショナリー・ロード』
監督:サム・メンデス
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、マイケル・シャノン、キャスリン・ハーン、デヴィッド・ハーバー、キャシー・ベイツ
劇場情報:2009年1月24日より丸の内ピカデリー1ほか全国にて公開
配給:パラマウント
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