ゲイの某映画監督が来日してインタビューした時、「日本で、ババ専(70歳以上のバアちゃんだらけの)のエロ雑誌を見つけてビックリした!」と言って目を丸くしていた。“軟体男がセルフ**ラ**するあんたの映画のほうが100倍スゴイよ”と突っ込みたくなったが、「隠すから過激化すんじゃないの?」という彼の意見は確かにまっとうだ。どえらい遠くから始まった気がするが、今回の映画は『子供の情景』。アフガニスタンで文字を学ぶために学校を目指すおチビちゃん、バクタイ(女)の物語である。かなり頑固でプンプンしてるその姿は、中央アジアの“ロッタちゃん”って感じで猛烈にカワイイのだが、この映画、それだけでは終わらない。発端は口紅だ。

バクタイはお金が足りずに鉛筆が買えず、代わりに口紅を持って学校に行く。どえらく赤い。これが女の子ばかりの学校(イスラムではある程度の年になると、男女別教育らしい)で、授業中に奪い合いになる。みんながぐりぐり口紅をつけ、ほっぺたにも塗り、教室は“総おてもやん状態”である。口紅に女の子たちが興奮するのは、女の子が女の子らしいおしゃれをすることが禁じられているからだ。
アフガニスタンでは頭からすっぽり被るブルカがある種女性のスタンダードだが、その下には驚くほど真っ赤な口紅をつけている人が多いらしい。バクタイのお母さんだって、住まいは洞窟だが口紅は持っている。女性なら誰だってオシャレがしたい。その気持ちが数少ない化粧品に強く現れて、彼女がたちは“驚くほど真っ赤”を選ぶのかもしれない。私たちがナチュラルなピンクを選ぶのは、カラフルなチークもアイシャドーも持っているからなのだ。
でも、だからといってアメリカ式に「女性は虐げられてる! 髪の毛を出して(イスラム教では髪の毛は秘部なのだ)、化粧をするのよ!」と説得するのは(もし彼女らの身の安全が保障されていたとしても)なんか違う。だって、別の星から宇宙人がやってきて「裸で暮らすことこそ自由! 服を着てるチミは、自由を奪われてるってことだぜ!」と言われても、あたしは脱がない。ほっとけよと思うに違いない。化粧をせず髪を隠す慎ましさや、しおらしさを美徳とする観点が、彼らの文化にはあるのかもしれないし。
“ほどほど”にできないもんかなあと思う。自由は決して強制されるものじゃなく、“ほどほど”に落ち着くために、必要なのだ。(text / Shiho Atsumi)
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『子供の情景』
原題:Buddha Collapsed out of Shame
監督:ハナ・マフマルバフ
出演:ニクバクト・ノルーズ、アッバス・アリジョメほか
劇場情報:2009年4月18日より岩波ホールほか全国にて順次公開
配給:ムヴィオラ、カフェグルーヴ
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