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NY I LOVE YOU

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映画『ブラッド・ダイヤモンド』で一番笑ったのは(笑う映画じゃないけど)、レオナルド・ディカプリオがタバコを口にくわえ火をつけようとするたびに、近くにいる誰かが「喫煙はお前を殺すことになるぞ」といちいち言ったり、タバコを奪われたりして、結局レオは1本もタバコを吸わないことだった。だって舞台は大混乱の紛争地帯で、レオは命がけで紛争ダイヤを密輸中、健康気にするくらいなら国へ帰れ!って話だし、警告する人が「お前を殺すつもりだぜ」っていう空気を体中から発散させてる黒人ゲリラだったりするんだもん。ハリウッドがどれほど喫煙に対して過敏かっていうことの証拠である。ところがかたや東海岸では、事情が違う。10人の監督が作るオムニバス映画『ニューヨーク,アイラブユー』では、登場人物はいたって何気なく、なんか平和に、だがかなりスパスパとたばこを吸っている。かなりはっきりと嫌煙派の私だけど、こういうのを見ると「さっすがニューヨーク!」って感じがして嬉しくなってしまう。

日本人は「アメリカ映画=ハリウッド映画」って思っているところが多いけれど、アメリカの映画人にとっての「ハリウッド映画」は「スタジオ映画」、つまりハリウッドに拠点を置いているメジャースタジオが作る映画のこと。それ以外にも映画はたくさんあるわけで、ニューヨークは“それ以外”のメッカである。ウディ・アレンとか、マーティン・スコセッシとか、ジョン・カサヴェテスとか、イカした監督がたくさんいるのだ。何がいいって「オレはオレの好きな映画を撮るぜ、世の中なんか関係ないね」って感じがいいのである。いやもちろん興行成績だって気にしてると思うんだけど、気にしてんのに「オレはオレ」が隠しきれてない。飼いならしても飼いならせないところが私は好き。タバコはそんな象徴のひとつに思えたりする。ある映画で、ハリウッドのプロデューサーが「映画の中でタバコを吸うのはロシア人とマフィアだけ」って言う場面があるんだけれど、ある時代からハリウッド映画でタバコは「マネしちゃいけない人」の象徴である。だけどニューヨークはそういうハリウッドのお作法をかるーく無視する。その無視っぷりが、わざとらしく“清く正しい”ハリウッド映画の閉塞感とは対照的な、クレイジーで愉快な自由を見せてくれる。大みそかのどんちゃん騒ぎのニューヨークで愛を求めて徘徊する若者たちを追った『200本のタバコ』も素敵だったし、『スモーク』なんてタイトルそのままの作品は、「たばこの煙の重さの計り方」(!)を教えてくれた粋な映画だった。

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余談だけれど、『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリーも生粋のニューヨーク派、ものすごいチェーン・スモーカーだ。テレビでは運命の男ビッグと別れた時はタバコとビール片手にドジャースタジアムで騒ぎ、自身の作品が映画化されるってことで訪れたロスでは、喫煙者よりベジタリアンが多いことに驚き、早くニューヨークでタバコ吸いてーと呟いていたんだよな、たしか。でも映画版で結婚式をぶっちぎられた時はタバコを吸ってなかった。そのうえ結婚までしちゃってさあ。ハリウッド映画になっちゃったんだなあ。なんかちょっとサミしい。
(text / shiho atsumi)

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NY I LOVE YOU

『ニューヨーク,アイラブユー』
原題:NewYork, I Love You

監督:ファティ・アキン、イヴァン・アタル、アレン・ヒューズ、岩井俊二、ジョシュア・マーストン、シェカール・カプール、ミーラー・ナーイル、ナタリー・ポートマン、ブレット・ラトナー、チアン・ウェン
出演:オーランド・ブルーム、クリスティーナ・リッチ、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、シャイア・ラブーフ、レイチェル・ビルソン、マギー・Q、ロビン・ライト・ペン、ジェームズ・カーン、ジョン・ハート、アンディ・ガルシア、ケヴィン・ベーコン、イーサン・ホーク
劇場情報:2010年2月27日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー!
配給:IMJエンタテインメント + マジックアワー
©NY5,LLC-All Rights Reserved.


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