ジェームズ・キャメロンの映画で、くー、カッコいい!って思わせてくれるのは、いつだって女だ。現在大ヒット中の『アバター』の男勝りに戦う真っ青なお姫様や、敵の母船に突っ込むニヒルなヘリの女操縦士、『ターミネーター2』のサラ・コナー、『エイリアン2』のリプリーはもとより、男ばかりの特殊チームで気炎を吐き、ビビリの伍長を抱きしめながら、エイリアンの群れもろとも自爆する女戦士ヴァスケス。晴れた日の朝礼では必ず立ちくらみしちゃう青白いもやしっ子だった幼い日の私は、その引き締まったワイルド・ボディやら、挑発的で不敵な笑顔やらに、ひえー、かくいー!とシビレていたのだ。まそんな“女傑メーカー”のキャメさんが、映画じゃなくて現実の世に出した、今話題のカッコイイ女がキャスリン・ビグロー。今年のオスカー大本命のキャメ作『アバター』の最大のライバルといわれている『ハート・ロッカー』の監督である。これがまた、身長180cmオーバーの、モデルみたいなすっごい美人。
彼女の作品は主人公がたいてい男で、男性監督が撮ったような男っぽい作品が多く、今回の『ハート・ロッカー』もイラクの爆弾処理班が主人公の戦争映画。だけど男性監督の戦争映画と全く違うのは、戦争映画特有の「弱い者がいつも犠牲に…」というお涙ちょうだいがない。説教臭くない。それでいて戦争のクレイジーさは、これまで以上に伝わってくる。たぶん、私が思うに。男の監督には戦争は“男が始めたもの”という無意識の罪悪感があるんだと思う。彼女にはそれがない。加害者でも被害者でもなく、部外者的な冷徹さで、戦争を見つめている感じがするのだ。
でもそれは、世界を回しているのは男だっていう厳然たる事実の裏返しかもしれない。だから女性にこそこの映画を見てほしいし、彼女には絶対にアカデミー賞を取ってほしい。女に戦争を始めてほしいわけじゃない、カッコいい女が歴史を変えるカッコいい瞬間が見たいの。

アカデミー賞はいまだ女性監督が獲得したことがないのである。男が女を差別してるって、フェミニズム的に糾弾したいわけじゃない。女を自分の常識に閉じ込めない男になら、喜んで敬意を表したいんだよ。例えばビグローと離婚する時、慰謝料代わりにデビュー作をプロデュースしたキャメさん。カッコいい女に惚れてる男が、これだけビッグだっていうのも、これまたカッコいいよね。
(text / shiho atsumi)
関連キーワード
『ハート・ロッカー』
原題:The Hurt Locker
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース、デヴィッド・モース
劇場情報:2010年3月6日(土)より、TOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー!
配給:ブロードメディア・スタジオ
©2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.
-
- 『ぼくのエリ 200歳の少女』
- “その気”が先か、“その気になれる男”が先か
-
- 『プレシャス』
- とにかく悲惨で過酷な運命を、笑いとキラキラ妄想力に変える力、これぞ「ゲイ力」
-
- 『17歳の肖像』
- 女の子はみんな、“ここではないどこか”病。
-
- 『ハート・ロッカー』
- 今年のオスカー最有力候補!女性監督が、歴史を変えるカッコいい瞬間
-
- 『ニューヨーク,アイラブユー』
- 11人の監督がニューヨークを舞台に独創的なストーリーを紡いでいく
-
- 『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』
- 時代は石油の奪い買いから水の奪い合いへ!水道水とボトルウォーターの違いって?
-
- 『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』
- マイケル・ムーア監督、新作で悪の根源・アメリカ経済を斬る!
-
- ファッションが教えてくれること
- 米版ヴォーグ編集長アナ・ウィンターを通して描く、リアル・ワーキング・ムービー
-
- 『私の中のあなた』
- ニック・カサヴェテス監督、待望の新作は大ベストセラー小説の映画化!
-
- 『ココ・アヴァン・シャネル』
- オドレイ・トトゥ インタビュー『アメリ』が演じることになった、ココ・シャネル
雲海テラスで今だけの奇跡の絶景! 季節によって多彩に楽しめる多目的リゾート 2010.07.28
八ヶ岳リゾナーレでの野菜を巡る読者ツアーをレポート 2010.07.28
満月に乾杯! タイ生まれのプレミアムビールでエキゾチックな真夏の夜 2010.07.28
栄養療法が軽んじられてきたのは、商売にならなかったから!? 2010.07.14
カナダ最大の都市、トロント。注目エリアからデザインホテルまで、verita流の楽しみ方 2010.07.07
おすすめ記事
-

「別府温泉にて」 by TOWA TEI
2010.06.21
TEIさんが記憶をたどって綴る、ジャングル・ブラザーズとの思い出のひとコマ
-

大地から生まれたアート Vol.1
2010.06.16
アボリジニアートプロデューサー 内田真弓さん インタビュー

















