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17歳

17歳


「それはね、男の“なじみ根性”ですよ」と、彼女は言った。取材で出会ったあるウェディング・プランナーさんに、お話を聞いたときのことである。話題は式場選びの男女差についてで、新婦が「友達がやった式場ではやりたくない」というのに対し、新郎は必ず知人の結婚式で一度行ったことのある場所を好むらしい。ランチの定食屋でも飲み屋でもキャバクラでも、男は「いつもの」と言えることが嬉しいし安心する。だけど女の子はいつもと同じじゃつまらない。男にはわかんないだろうが、30歳を過ぎても心の中では王子様の出現を待っているのも、実はその延長線だ。今とは違う何か、昨日とは違う世界。女の子はいくつになったって女の子で、“ここではないどこか”を探している。

例えば『17歳の肖像』の主人公ジェニー。1950年代に生きる両親はつつましくまじめで、地道に働き堅実に暮らしている。頭のよい娘は名門大学に入学させ、でも最終的には手堅い結婚させたいと願っている。そんなある日彼女の前に、謎の年上男デイヴィッドが現れる。優しくて妙に金を持っている。我慢して勉強して地味な主婦になる人生に意味を見出せない彼女は、こっそりシャンソンを聞きフランス文学にふけっている、ある意味大人びた、ある意味小賢しいガキなのだが、そんな彼女を、ジャズクラブでの夜遊びに連れ出し、美術品のオークションに出かけ、おしゃれな服を買ってくれて、17歳の誕生日にはパリに連れて行ってくれる。それはジェニーが夢に見ていた、“ここではないどこか”。だが、その別世界にはジェニーの世界にはない“金のなる木”がワシャワシャ生えていて――なーんてことがあるワケがない。“ここではないどこか”は、たいていが“ここ”と地続きなのだ。

実はトラップだらけだった男デイヴィッドの本当の姿が見えて、大人の世界にガツンガツンと肘鉄を食らうジェニーの姿に、私はいろんな女の子たちを見てしまう。仕事がイヤで結婚した彼女。留学先で無為に年を重ねる彼女。不倫の関係を断ち切れない彼女。そりゃアンタ無謀すぎるよって時は「止めとけば~?」くらいは言うけれど、でも、もしも私が彼女なら。親友が止めようが、親が死のうが、やるときゃやる。

17歳

仕方ないんだよ、女の子はみんな“ここではないどこか”病なんだもの。後悔はするかもしんないが、“なじみ根性”の人生にだって絶対に後悔する時が来る。後悔で死ぬ人なんていないんだし。

むしろ“どこか”を目指してたどり着けなかった時、味わった気持ちが大事だ。情熱、悦び、衝撃、諦め、自己嫌悪、開き直り。もう一度歩き出せるくらい強くなった時、きっと違う自分になっている。それこそが、女の子を別の“どこか”に運んでくれるものなのかなって気がするのだ。(text/atsumi shiho)

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17歳

『17歳の肖像』
原題:AN EDUCATION
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、アルフレッド・モリーナ、ロザムンド・パイク、オリヴィア・ウィリアムズ、ドミニク・クーパー
劇場情報:2010年4月17日(日)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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