event永久不滅の存在 マルセル・デュシャン from France

やはり、アーティスト マルセル・デュシャン(1887~1968年)は永久不滅の存在なのだろう。
chauffe marcel(ショッフ マルセル=温めろ マルセル)は、南仏ロングドック・ルシオン県で開催されているアート・イベントである。マルセル・デュシャンに感化された現代作家たちによる巨匠へのオマージュというわけでもなく、あたかもデュシャンも現代作家たちとコラボレーションしたかのように紹介する内容に、オープニングの前日、マルセルを探しにメインのモンペリエ市に訪れてみた。

パリ リヨン駅から約3時間半。地中海まで10キロ未満の距離に位置する南仏地方都市でも、市内に新たなトラム(路面電車)の線路を設計中で、道路はあちこちがぼこぼこであったが、これは現在、フランス全国見慣れた光景であるといえる。 はたして、マルセルはこんな変容する地方都市に登場してくるのだろうか。

ロングドック・ルシオン県現代アート地方基金(FRAC)が主催し、モンペリエ市をはじめ10都市凡そ22箇所が会場になるchauffe marcel展。Ready Made(リーディ・メイド)の先駆者で、1913年に“Roue de bicyclette sur un tabouret” (自転車の車輪)を展示し、「既製品を選ぶ行為は、アート作品を創出する行為である」と当時の芸術界を覆したデュシャン。アートのコンセプト、言葉遊び、表現行為を型破りな角度から表現した。

それから、およそ一世紀近い時間が経過しようとする昨今、幾世代ものアーティストがデュシャンに多かれ少なかれ影響を受けてきた。デュシャンは、果たして次世代にとって良き巨匠なのか?それとも、問題勃発者なのか?

ロングドック・ルシオン県現代アート地方基金は、80年代から現代にかけて、800点にものぼる多くの作家作品をコレクションしてきた。それらをどのような手法で、大衆に親しんでもらえるか。美術館やアートセンターに限らず、公共の場でも、アートが浸透していかれる環境を築いてきた。デュシャンの存在は、このような考えを導いてくれる糸口として欠かせない。それは、地方代表者やロングドック・ルシオン県現代アート地方基金代表者のスピーチでも表明された。

デュシャンは、芸術界を理論や道徳から説くことなく、かといって威圧的にアートを政治的な行為に結びつけることもなく、淡々と独自の皮肉やユーモアを造形にした異例な芸術家であることを念押しすることもないだろう。

芸術界の掟があるとしたら、それは「表現の自由」。デュシャンは、自由奔放を生涯、駆け抜けたアーティストであった。自らの人生も、パフォーマンスとして演じたのだろう。現役アーティストたちが、幻のデュシャンとコラボレーションした影に、マルセルは実存し、くわえたパイプから煙をゆるがしていることを想像する。 なぜなら、「されど死ぬのは、いつも他人」と彫られたデュシャン自作の墓碑銘の下に、マルセルがじっとしているとは到底信じられないからだ。 (text & photo / Kaoru URATA)


Chateau d’O

Gabriel Di Matteoの200点にも及ぶ1998年から2006年(オープニング前日に終了した作品もあるという)の“L’humanite mise a nu”(裸にされた人類)は、デュシャンの“彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも”を古代から現代に至る人類に置き換えてイラストのように表現した。


Vasistas Galerie

ready madeを構成するエレメントと自然をテーマに、「デュシャンの周りで」を意識した展示。Valentin Souquet作 “Cocktail métamorphique”(2003)は、時計部品と食虫植物を組合わせたエロティックなフォルムをしている。Hubert Dupratは、脱皮する幼虫の過程を利用して、人工的な数ミリの殻を創作。

La Panacee
中庭を囲むつくりの建物は、昔の医学大学であった。
重力とは、化学でも道徳的学術にも使われる用語で、デュシャンのアートにおけるキーワードでもある。

chauffe marcel

2006年6月17日~10月29日迄
Montpellier、Sète、Nîmes、Alès、Milhaud、Villeneuve Lez Avignon、
de Pène、Bélesta、Bagnols-les-Bainsの場所
凡そ22箇所が会場になっている
詳細は、以下のアドレスにてチェック(一部フランス語のみ)
http://www.fraclr.org/

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