アジア大陸とヨーロッパ大陸にまたがって立地するトルコ。シルクロードを通じて、アジアからヨーロッパへと東西南北に人々が移動する交差点であったため、さまざまな食材や香辛料がもたらされ、アジアとヨーロッパの食文化が融合された独特な料理が生まれた。フランス料理、中華料理とともに“世界三大料理”のひとつに数えられることもあるほどだ。

(写真上):『カルシュック・エズメ(ペーストの盛り合わせ チーズ添え)』3種 ¥1,600~ 1種追加+¥300 素材の旨味が凝縮されたペーストは、前菜に欠かせない。スパイシーなもの、マイルドなものなど、その味わいも豊富で楽しい。手前より時計まわりに、「ハヴィッジ・タラトル(ニンジンとクルミとヨーグルトのペースト)」「パトルジャン・エズメ(ナスのペースト)」「ファワ(ソラマメのペースト)」「フムス(ひよこ豆のペースト)」「アジュル・エズメ(トマトとパセリのピリ辛ペースト)」「フェタ(水牛のチーズ)」
(写真左):『エキメキ』¥300 ゴマの風味が香ばしい、焼き立てのパンは、『カルシュック・エズメ』と合わせればワインが進む一品に。
(写真右):『ハレム ベエンディ』small ¥1,600 、regular ¥2,300
ナスとチーズのペーストが添えられた中トロの炙りは、中トロの新しい味わい方を引き出してくれる。本来はラム肉のトマトソース煮込みを使う料理を日本人向けにアレンジしたオリジナルで、女性に人気の一品
そんな伝統的なトルコ料理を守りつつ、柔軟な発想でアレンジした新たなトルコ料理を楽しませてくれるのが『ターキッシュキュイジーヌ ハレム』だ。5年前、外苑西通り沿いにオープンし、昨年11月に青山通り沿いへ移転、装いも新たにリニューアルをした。鮮やかな色と細密な柄がほどこされたトルコ・タイルやランプで彩られた店内は、イスラム建築を彷彿させる。食器やカトラリー類から装飾品まで、すべてトルコから仕入れたものというこだわりようだ。
トルコ料理は、豊富な食材を多彩な調理法で楽しむ。ナスやトマトなどの野菜や豆類をたっぷり使い、香辛料もさほど多用しないため、エスニック料理特有の香りや辛味が少ないので日本人好みといえるだろう。トルコが発祥の地といわれるヨーグルトを調味料として利用するのも特徴的だ。また、デザートもユニークなものが多く、「デザートは別腹」的な女子としては、食後も楽しみだ。

(写真左から):『カルシュック シシ ケバブ』¥2,900~4,750(2~5人分)
トルコ料理の代名詞であるシシケバブの4種盛り。「ケバブ」とは肉料理全般を指す。トルコはイスラム教国であるため、肉料理はラムやチキンが主流。チキンやラムをジューシーでやわらかに焼き上げ、味付けもあっさりとしているから食べやすい。ラムの臭みが苦手な人には、つくねがオススメ。付け合せのポテトが詰められたベイクド・マッシュルームも絶品
『ハレムピラフ』small ¥1,700 、regular ¥2,300
ラム肉がたっぷり入ったピラフを2種類のヨーグルトで食べる、ハレム自慢の一品。意外な組み合わせだが、ヨーグルトのマイルドな酸味がピラフの脂っぽさをやわらげ、さっぱりとした後味。一度、食べると病みつきになる美味しさ
『カルショック ピデ』small ¥1,500 、regular ¥2,000
カリカリと香ばしいのに、もっちりとした生地で、たっぷりのチーズ、ほうれん草やマッシュルームなどの野菜を包んだトルコ風ピザ。舟型をしているのが特徴的
デザート盛り合わせ 各¥700
その甘さで知られているトルコのデザートたち。ハチミツと砂糖をたっぷり使用した宮廷菓子の名残ゆえ。右上より時計回りに、トルコではポピュラーなバラのジャムといただく『ヨーグルトムース バラジャム添え』は華やかな風味。上新粉とミルクで作る『カザンデビ』はお餅のような食感で、シナモンがアクセント。トルコのハチミツを使用したクリームチーズムースにベリーの赤ワインコンポートを添えた『クリームチーズムース』はオリジナル。トルコの特産物であるヘーゼルナッツをふんだんに使った濃厚な『ガトーショコラ』。家庭でもよく作られるライスプリン『ストラッチ』はミルク風味のやさしい味わい。中央、ピスタチオとヘーゼルナッツをたっぷり包んだパイをシロップで漬け込んだ『バクラヴァ』は、ナッツ好きと甘党にはたまらない。その他、伸びることで有名なトルコアイス『ドンドルマ』も人気の定番品
オーナーの恵エレル氏は、来日して12年、日本人の母上を持つ。「トルコの伝統的な料理をベースに、日本の食材も取り入れて21世紀の東京にマッチした革新的なトルコ料理にチャレンジしていきますよ」とのこと。日本語も堪能なので、気軽にトルコの料理や文化について質問したい。
まだまだ馴染みの薄いトルコ料理だが、アジア各国の料理ほどスパイシーではなく、フレンチやイタリアンほど重くなく、なおかつ野菜や豆、ラム肉を使用していてヘルシーだから、女性にオススメの料理といえる。イスラム教国であるにも関わらず、飲酒は自由にできる国なので、お酒に合う料理も多いというのもうれしい。一度体験すれば、その魅力のとりこになること請け合いだ。
ただし、注意すべき点は一皿のポーションが多いこと。少人数よりもグループで、さまざまな料理を取り分けて楽しんでほしい。
アーフェット オルスン!(Afiyet Olsun=美味しく召し上がれ)
(text/miho sasaki、photo/chikahito nagai)
(写真左):エレル氏が絶大な信頼を寄せ、「日本で一番美味しいトルコ料理を作れるシェフ」と太鼓判を押す、ムスタファ氏
(写真右):トルコの陶器や銀製品は、質の高さで知られている。それらをふんだんにインテリアや備品に使用
ターキッシュキュイジーヌ ハレム
東京都港区北青山2-3-1 CIプラザB1
Tel:03-5786-2929
営業時間:17:30~23:00(LO 22:00)
休日:日曜
<コース>
料理7種 ¥4,000、料理9種 ¥5,000、料理9種 ¥7,000
東京メトロ銀座線外苑前駅より、徒歩2分。青山通りを赤坂方面に進む。
伊藤忠商事本社ビルに隣接するグルメモール「CIプラザ」の地下1階。
店名のハレムとは、宮殿内の「禁じられた場所」を意味する。
スルタン(王様)のためだけの秘められた空間は、美食を楽しむ場でもあった。