

“大人の素敵な時間”をテーマに、生まれ変わったばかりの複合施設『新丸ビル』。クラシカルで落ち着いた雰囲気の中に、オリジナリティを発信するお店が多く並んでいることに新鮮さを覚える。グルメも然りで、下町の名店からはじまり、フレンチ、イタリアン、インド、タイ、韓国、中華、ブラジルなど、世界各国の名店が集結した。その中でも特に注目したいのがモダン・オーストラリア料理を提供する『Salt』。2005年に惜しまれつつも閉店した、本国のスターシェフ、ルーク・マンガン氏のシドニーの名店が、ここに満を持して復活したのだ。
(写真上):目鯛とデュクセルのパフ包み ¥3,200 淡白な味わいの目鯛が、デュクセルとともにパフに包まれることで、シンプルながら華やかな一品に。ビーツのソースの隠し味であるホースラディッシュのほのかな辛みとオレンジのピクルスの甘みが、口の中で調和して絶妙な風味に!
世界中のVIPたちの晩餐会を多数取り仕切り、現在はシドニーヒルトンホテルのメインダイニング『グラス・ブラッセリー』の総料理長として腕を振るうマンガン氏。最近の功績として記憶に新しいのが、オーストラリア出身女優ニコール・キッドマンのウェディングパーティーだろう。王族や大統領など錚々たるVIPたちを魅了してきたマンガン氏の日本初進出だけに期待は高まるばかりだ。
(写真左):鴨のタルト2種 胸肉のローストはしっかりとした鴨の味が楽しめる。低温でじっくりとコンフィされたモモに肉は、口の中でほろほろとほどけていく。マスタードソースに味噌が加えられているのがマンガン流。栗と紅芯大根のサラダも目新しい一品
モダン・オーストラリア料理と聞いてもピンと来ない人も多いかもしれない。もともと移民の国であるオーストラリアで、世界各国の文化と調理方法が融合して成長し、新しい形として生まれた“自由な発想の料理”のことで、イメージ以上にモダンでスタイリッシュなことに驚かされるだろう。そして、フレンチがベースであるのに、なぜかはじめて食べるような新鮮さがある。
(写真右):ルーク・マンガン氏 1970年メルボルン生まれ。ロンドンの三ツ星レストランでの修行を経て、シドニーへ帰国。1999~2005年まで『Salt』『ビストロ・ルル』を営む。主な功績として、デンマーク皇太子のロイヤル・ウェディング前夜晩餐会、クリントン前アメリカ大統領晩餐会、ヴァージンアトランティック航空機内食のコンサルタントなど。トヨタのレクサスと、若手シェフのためのコンクールや奨学金制度を設立するなど、後進の育成にも意欲的
(写真左):シャノン・ビニー氏 マンガン氏の下で右腕として10年間共にしてきたシャノン・ビニー氏が、若干29歳にして日本総料理長として腕をふるう。陽気で気さくな人格は、オージーそのもの
さらに特筆すべきは、シドニー時代とまったく同じメニューが元スタッフの手によって作られていること。日本人向けにアレンジをし、日本人スタッフによって作られる海外有名シェフのレストランが多い中、稀なオペレーションスタイルだ。メニューにも柚子やしょうが、金柑など我々になじみのある食材が並ぶが、これらを本国でも供していたとは、いかにマンガン氏が世界の食材に造詣が深いかがわかるだろう。また、オープンキッチンからうかがえるスタッフたちがオージーらしく陽気なこと! 歌を口ずさんだり、踊ったり、とにかく楽しそうに調理をしている。そしてマンガン氏の信念である「自分の料理は芸術ではない。お客さんが楽しんでくれることがいちばん」ということがダイレクトに感じられるのが、各テーブルに備えられた岩塩。自分の味に頑なな誇りを持ち、好みにアレンジすることを許さない元来のシェフにはありえない発想だろう。
その一皿から、オーストラリアの明るさと気楽さが伝わってくるファンタスティックな一軒の誕生を喜びたい。
(text/miho sasaki、photo/chikahito nagai)
(写真左):オーストラリアの広大な自然とシドニーのモダンさをイメージした店内。波をかたどった流線型の天井、水面に一滴のしずくが落ちる瞬間を表現した大きなダイニングシートなど、ダークブラウンが基調ながらも温かみが感じられる。壁に飾られているのは、オーストラリアに魅せられ、「フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)」としても活動している写真家・相原正明氏の作品
(写真右):皇居のお堀を一望できるVIPルームは、ビジネスユースだけではなく、プチ同窓会など女性同士の集まりにも活用したい
隣接するワインバー『W.W(ダブリュ ダブリュ)』もマンガン氏のプロデュース。世界各国のワインが楽しめるので、『Salt』のウェイティング・バーやアフターディナーとしても利用できる。バーメニューも『Salt』で作られるため、通常のバーとは一線を画す本格派。ランチには、オージースタイルのワンディッシュプレートが楽しめる
東京都中央区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング6F
Tel:03-5288-7828
営業時間:ランチ 11:00~15:30(LO 14:30)
ディナー 17:30~24:00(LO 22:00)
休日:無休
東京メトロ丸の内線東京駅から直結、JR東京駅丸の内中央口より徒歩1分。2002年に同様に立て替えられ、“双子ビル”と称される『丸ビル』の隣
【その他の人気メニュー】
・ランチコース ¥1,500、¥3,500、¥5,000
・ディナーコース ¥8,000、¥11,000(ソムリエ厳選ワイン付)
・ウズラの天婦羅 ¥1,900
・帆立貝のシアーと赤座海老の緑茶スモーク ¥2,400
オーストラリア大使やカンタス航空社長など、オーストラリアに縁あるVIPたちのお墨付き。自然だけが魅力ではない、“新しいオーストラリア”の情報発信地になることが期待されている









