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のらぼう

のらぼう

決して交通の便がよいとは言い難い西荻窪という立地にも関わらず、2002年のオープン以来、その素朴ながら質の高い料理を求めて、遠方から足を運ぶ人が絶えないと評判なのが『たべごと屋 のらぼう』。

この店の主だったメニューは、野菜をたっぷり使ったお惣菜。その日に入荷した食材によって、日替わりでメニューが考案される。メニューには産地と生産者が記されているため、昨今の流行であるオーガニック系なのかとオーナーである明峯牧夫氏に訊ねたところ、こう話してくれた。「無農薬栽培は理想的ですが、野菜づくりは天候や環境に左右され、とても大変なこと。ある程度、農薬を使用することは仕方のないことだと思っているので、オーガニックをうたうつもりはないですね。ただ、安全なものを食べてもらうのが作り手の責任なので、生産者の顔がわかる食材を使用しています」。野菜は、毎日明峯さん自身が生産者の農園に出向き、直接仕入れている。魚や米も、信頼できる生産者のものを選ぶというこだわりようだ。

(写真上)「新秋刀魚の炊き込みごはん」\2,940(税込/2〜3人前)。三重の万古焼の土鍋で炊き上げるごはんは、オーダーから40〜50分かかるので要注意。この年に1度の旬のごちそうを楽しみにしている常連客も多い。秋は秋刀魚以外にも、旬の素材を用いた炊き込みごはんが数種類用意される

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「茄子の揚げ出し」\819(税込)。朝もぎの茄子をはじめ、ししとう、ゴーヤ、パプリカ、ズッキーニなどが一皿に。野菜本来の甘みや苦みが楽しめる 

これからの季節の楽しみといえば新秋刀魚と新米!その両方の美味しさを堪能できるのが、「新秋刀魚の炊き込みごはん」。北海道・厚岸産の新秋刀魚を塩焼きにし、だしで炊き上げたあきたこまちの土鍋ごはんと混ぜ合わせた秋ならではのごちそう飯だ。

ふたを開けた瞬間にフワッと立ち上ってくる湯気と香りだけで完全にノックアウト。秋刀魚の生臭さもなく、香ばしさだけが漂ってくる。土鍋ならではの“おこげ”もたまらない。秋刀魚のジューシーさと皮のほのかな苦味もアクセントになり、少し硬めのごはんをしっかりと噛みしめれば、それだけで健康になれそうな気がする。

次にいただいたのは、見た目もカラフルで楽しい「茄子の揚げだし」。素揚げされた朝もぎの茄子、ゴーヤ、ズッキーニなどは、それぞれの味が濃く、だしと絶妙にからまっている。

素材本来の味を引き出すシンプルで、やさしく、懐かしい味付け……。ここではいつもの飲み屋のように、お酒をがぶがぶ飲み、煙草をふかしながら肴をつまむといういつもの悪しき行為を少し中断し、真正面から丁寧な食事とお酒に付き合いたくなる。

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カウンターとテーブル席併せて12席という小さな店内は、レトロな暖かい空間。いつも満席なので、予約をしたほうがベター  

日頃はグルメ気取りで各国様々な美味しいものを貪っていても、最終的にはやっぱり日本のソウルフードに行き着くことに今さらながら気づかされる。西荻の細い路地にたたずみ、年若い主人が営む小さなたべごと屋は、今宵も野菜と家庭の味に飢えた都会人たちの胃袋をやさしく癒してくれるのだろう。

( text / miho sasaki 、photo / chikahito nagai )

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のらぼう

たべごと屋 のらぼう

東京都杉並区西荻北4-3-5
Tel:03-3395-7251
営業時間:17:00〜24:00(LO)23:00
定休日:月曜 ※毎週水曜は全席禁煙デー

「のらぼう」という店名は、武蔵野地区で栽培される地域野菜「のらぼう菜」にちなんだもの。アクセスは、JR西荻窪駅北口を出て左手にある伏見通りを直進10分。セブンイレブンを超え、ひとつめの角を右折した路地にある和風家屋の1階。店先の小さなテラスが目印。
 

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