昨秋、グルマンのみならず、日本全国で話題にのぼった『ミシュランガイド東京版』。オープンして半年余りで、この権威あるグルメガイドに“一ツ星”として認められたフレンチが代官山にある。
(写真上)インゲンや長いも、水菜などとの食感の妙が楽しめる鱧を使った夏らしいテリーヌ。梅肉ソースで和風な佇まいだが、ひと口食べればなぜかフレンチテイストにまとまっているのが、原口マジックの奥深さ『季節のテリーヌ、自己流で…』 \2,625〜

パリの三ツ星レストランをはじめ、フランス各地のレストランで修行を積んできた原口 広シェフが営む『レザンファン ギャテ』である。原口氏というと、グルメ評論家たちから“テリーヌの天才”と称されるほど、テリーヌに強いこだわりを持つ。一般にテリーヌというと、前菜に供される冷製のひとつくらいの印象であるが、氏が生み出すものは一線を画す。前菜というポジションを遥かに超え、メインとして成り立つほどの完成度。実際、テリーヌに重きをおいたコースもあるほどだ。
(写真左)20種前後の福岡県筑紫郡から届いた新鮮な季節野菜の力強い旨みを感じるシンプルなテリーヌ。帆立のエキスと白ワイン、サフランで仕上げた濃厚なマヨネーズソースがよく合う『無農薬野菜をプレスしたテリーヌ サフラのムースリーヌ・ソース』\2,205
原口氏のテリーヌの特長は、まず見た目が美しい。色調・デザインのバランス共に計算し尽くされ、緻密に作られた断面の美しさにうっとりしてしまう。そして、さまざまな食材の組み合わせから生まれる絶妙な美味しさは言うまでもない。
テリーヌ型という小さな宇宙の中で、どれだけの表現ができるかという奥深さがテリーヌにはある」とのことだけあって、想像力と創造力の2つのセンスによって生み出されていることを感じざるを得ない仕上がりなのだ。日頃から原口氏は単なる“アーティスト”ではなく、“アルチザン(腕のよい職人)”になりたいと考えているそうで、まさに“職人的芸術家”の成せる技と唸るばかりだ。
コレクション・ドゥ・テリーヌとして常時8種類あり、オーソドックスな田舎パテ風から、野菜がメインのもの、フォアグラやオマール海老を用いたゴージャスなタイプ、温かいもの、冷たいものまでさまざま。どれを選ぶべきなのか、非常に悩ましいところ。このテリーヌを求めて何度も足を運ぶ人がいるというのも納得だ。季節によってもメニューが変わるので、楽しみは尽きない。
(写真右)ほどよい酸味のヨーグルトソルベと共に、さっぱりといただける大人のデザートテリーヌ『巨峰とサングリアのテリーヌ ヨーグルトのソルベを添えて』\1,470
このテリーヌの楽しみ方は2つ。コースの一料理として楽しむ方法。これは原口氏の骨太な料理の数々を堪能できるので一石二鳥だ。もうひとつは、バーカウンターでワインやシャンパンと共にアラカルトで気軽に楽しむスタイル。心地よい風を感じながらさらりと過ごすのも一興だ。
どんなシチュエーションであっても満足できる雰囲気と確かな美味しさがある。
まだまだ暑さが続く日々だからこそ、見た目にも涼やかで、心も舌をも満足させてくれる一皿で涼を取れば、夏バテとも無縁で残暑を乗り切れそうだ。
(text/miho sasaki、photo/chikahito nagai)
(写真右上、左から)野菜のテリーヌには、優雅でありながら辛口でスッキリとしたシャンパーニュ『J.ラサール』(\1,700グラス/\12,000ボトル)がおすすめ。淡白な味わいの鱧には、甘味と酸味のバランスがよいロワール地方の白『VOUVRAY 2006』(\9,400)を合わせたい。デザートテリーヌには、コクと甘味がしっかり感じられるラングドッグ地方のデザートワイン『ジェラール・ベルトラン・リヴザル』
(写真右下)原口シェフは、クラブニュクスグループ オーナーとして4店舗のレストランを経営。フランスの三ツ星レストラン、パリ『ルキャ・キャルトン』、サンテチエンヌ『ピエール・ガニエール』、ピアリッツ『カフェ・ド・パリ』などで5年間の修行を積んだ後、帰国。ジビエとテリーヌを得意とし、「テリーヌの天才」と称されている。シェフのバックに飾られた絵画は、奥様がコンピュータグラフィックで描いた大作!
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レザンファン ギャテ
東京都渋谷区猿楽町2-3
Tel:03-3476-2929
営業時間:ランチ 12:00〜14:00(L・O)
ディナー 18:00〜21:00(L・O)
ワインバー 18:00〜24:00(L・O)
定休日:月曜
【アクセス】
東急東横線代官山駅より八幡通りを明治通り・並木橋に向かって直進
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