2010年に万博が開かれる上海。街は建設ラッシュに湧いており、高級ホテルも次々とオープンし、活気に満ちているという。そんなエネルギッシュな上海の今を感じられる一軒家レストランが西麻布にオープンした。その名も『上海百貨店』。地下にはワインやカクテル、シガーが楽しめる「M’s Bar」、2階には小皿でいろいろ食せる「上海家庭料理#2」があり、屋上はプライベートバーとして解放されている。なかでも注目は3階の「上海ビストロR」。国際都市・上海ならではの洋食メニューを楽しめて、古き良き時代の上海も体験できるのが魅力だ。
(上写真)餃子の中身は贅を尽くした豪華な食材。ナンプラーで味付けしており、エスニック風味が楽しめる。ソースにはスパイシーさも加えており、サラダのオレンジといただくと口の中がさっぱりとする。海老と豚肉と帆立の入ったR風餃子のサラダ仕立て 柚子アイオリソース ¥850

回転扉を開き、レトロモダンな洋館を昇っていくと、スッキリとした椅子とテーブルが並ぶ空間が出現。1920年代、欧米の列強国が進出し、上海租界と呼ばれる外国人居住領域が形成された時代の邸宅をイメージした内装で、上品であると同時に親しみを感じさせる落ち着いたフロアになっている。壁に飾られた写真や調度品などから「東洋のパリ」と称されたかつての上海の洗練された雰囲気も体感できる。
(写真左)豆鼓の独特の香りが食欲をそそる。照りを出す上海料理の伝統にちなみ、バターやハチミツを多用した濃厚な味わいも特徴的。銀ダラの豆鼓味噌焼き ワサビジンジャーソース 黒米添え ¥1,850 (写真右上)こちらも豆鼓を使った甘みのある濃厚なソース。脂の多い国産でも、脂の少ないオーストラリア産でもない、US産牛フィレ肉との相性がバツグン。US産牛フィレ肉のグリル チャイニーズブラックビーンズソース ¥3,800 (写真右下)身が引き締まった真鯛、マスタードソースに加えた魚卵で食感が楽しい。湯引きした真鯛のカルパッチョ マスタードビネグレット ¥1,800
ところで“洋食”というと、日本ではオムライスやハンバーグ、クリームコロッケなどを思い浮かべるが、“上海の洋食”というコンセプトを、同じアジア圏の私たちはどう捉えればいいのだろうか。上海料理というと、野菜や魚介など地のものを使った、甘くてとろみのある濃厚な味の料理が特徴だが、ここでは、ハワイ出身のロイ山口氏監修による現代的で洗練された“上海キュイジーヌ”を堪能したい。
ロイ山口氏のメニューの特徴はアレンジに優れているところ。真っ白なお皿に立体的に盛られた料理はどれも色鮮やかで、フレンチやイタリアンと見まがうほど。けれども、よく見ると、グリーンの部分がパクチーだったり、黒豆が原料の豆鼓みそのコクのある香りに包まれていたり、ズバリ餃子が載っていたりする。外国人から見るチャイニーズとしか思えないが、一口食べると、それまでの中華にはなかった全く新しいタイプの料理、というのがわかる。
(写真上)上海租界時代の邸宅をイメージした店内。飾られているオブジェや椅子などの調度品は購入することもできる。 (写真下)奥にはよりゆったりとくつろげる個室があり、接待やプライベートの会合にもぴったり。
例えば「海老と豚肉と帆立の入ったR風餃子のサラダ仕立て 柚子アイオリソース」。私たちにも馴染みのある餃子がメインの料理だが、いざ食べると、ナイフとフォークを使っている自分に驚く。メインの魚料理を食べるように大きめの餃子を切り分け、ソースとサラダといっしょに口に含むと、それはもう私たちがふだんお箸でいただく餃子ではない。盛りつけだけでなく、食スタイルは洋そのもので、餃子ってこんな風にも変身できるんだ、と感動すらしてしまう。
一方、豪快な肉のかたまりが洋オーラを放つ「US産牛フィレ肉のグリル チャイニーズブラックビーンズソース」。オイスターソースや豆板醤、豆鼓みそなど中華の調味料を取り入れたソースで、逆にあっさりとお肉をいただけてしまう。いい意味でのギャップが面白い。
極めつけは「銀ダラの豆鼓味噌焼き ワサビジンジャーソース 黒米添え」。日本でも馴染みの食材ばかりを使った一品だが、照りのある濃厚なバターソースの風味が、和でも中華でもない洋食テイストをしっかりと印象づけてくれるのだ。
(写真左)上海百貨店地下の「M’s Bar」には毛沢東のオブジェがずらり。オリジナルカクテル、その名も「毛沢東」(¥1,100)は、あっさりしているので濃厚な料理を食べたあとにもピッタリ。 (写真右上)屋上の「マオテラス」。オリジナルモヒート(¥1,280)がオススメ。 (写真右下)2階の「上海家庭料理#2」の小皿は全16種類で、1皿すべて¥600。
インパクトのあるメニューが次々と登場する「上海ビストロR」。フレンチでもイタリアンでも、チャーニーズでもない。国籍を問わないような“上海キュイジーヌ”はそのまま、国際都市・上海を表しているようだ。古き良き時代の栄華を誇りに思いつつも、好奇心旺盛にいいものをどんどん取り入れようとする姿。とかく内向き思考になりがちな現代ニッポンに、ワールドワイドに、エンターテイメントに食を楽しめる上海百貨店が登場したことは、なんとも頼もしい。
(photo/chikahito nagai&上海ビストロR, text/yuko kotani)
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上海ビストロR
東京都港区西麻布4-10-3 上海百貨店3F
Tel:03-6427-9893
営業時間:ランチ 11:30〜15:00 ディナー 17:30〜23:00(最終入店21:00 LO21:30)
定休日:無休
席数:42席(8席までの個室あり)
ディナーコースは¥3,800〜。前菜またはサラダ、パスタまたはリゾット、メイン料理(肉または魚)を選べるセット。
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