2009年6月にオープンして以来、フレンチ好き&レストラン好きの話題をさらっているのが東京・南青山の『フロリレージュ(Florilege)』。『ル・ブルギニオン』で伝統的フレンチを、『カンテサンス』で創造的で斬新なフレンチを体得した川手寛康氏のお店だ。ミシュランの星が輝く店でスーシェフとして活躍した川手氏の独立とあって、業界内でもかなり注目されている。
(上写真)川手シェフの十八番、「フォアグラの重さとメレンゲの軽さ」。大きな塊のまま火入れしたフォアグラを目の前で切り分けてサーブしてくれる。ヘーゼルナッツ入りの香ばしいメレンゲとの相性も抜群。

外苑西通りを1本西に入り、住宅街の中にある階段を上り切ったところに現れる白い建物。エントランスは奥にあり、一見すると入るのに躊躇してしまう。中に入ると、片側ソファーのテーブル席20席が見渡せる。茶・黒・白を基調としたシンプルモダンな内装ながら、頭文字Fを花模様のようにあしらったモノグラムの壁が華やいだ気分に。大きな花びらのようなフランス製陶磁器の3色のディナープレートに、曲線が美しいシャンパングラスで彩られたテーブルセットに心が躍る。フランス語で詩華集という意味を持つ店名に相応しい、謙虚な花々の出迎えのようだ。
(写真下)2皿構成の肉料理その1。高温と低温を使い分け、絶妙な火入れをした「和牛の心臓のロースト」。ふっくらやわらかな肉質を堪能できる。紫を塗り重ねたガラスのお皿により、肉の赤身が一層引き立つ。(写真上)こちらは牛の大腿骨を器にした「和牛骨髄のフラン」。牛の出汁と卵と骨髄をのせて蒸し焼きにしたフランは茶碗蒸しのような優しい味わい。ホルモンもしっかり味わえるのが『フロリレージュ』の特徴。
前述の2店だけでなく、フランス・モンペリエでもミシュランの星獲得店で腕を磨いた川手シェフ。彼の織りなす料理は、伝統とモダンという2つの時間軸の融合がテーマ。それが新しい感覚を覚醒させるフレンチとなっている。
特徴的なのは、前菜「フォアグラの重さとメレンゲの軽さ」。「フランス料理の流れの中で必ずあるべきもの」と川手シェフが考えるフォアグラを、いかに軽く仕上げるかというコンセプトの一皿。フォアグラは大きな塊で焼いて脂っぽさを軽くし、メレンゲのサクサク感で香ばしさをプラス。フォアグラを口に含んだそばからメレンゲを一口いただくと、フォアグラの脂がメレンゲのサクサク感に溶け合う絶妙な食感と味を堪能できる。ローストしてすりおろしたヘーゼルナッツ、周りに散らせたリンゴのビネガーとのまとめ方も見事。脂と酸味、食感の違い、冷温の差などさまざまなコントラストが際立つ絶品である。
ホワイトチョコとイチゴ、ピスタチオという黄金の組み合わせをレストランデザートならではの形にアレンジ。イチゴは香りが強く酸味の強い北海道産のはるみを使用。ピスタチオを削ったり泡にしたりして食感の差をつけている。
ディナーはおまかせコースとなっているが、特筆すべきは調理法を変えた肉料理が2皿出ること。1皿目はシンプルなローストで、2皿目は他の部位を使った煮込みやフランなど。「こうすることで、牛なら牛、豚なら豚を1頭まるごと味わってもらえるし、技法の差も見てもらえます。2皿目はクラシカルに仕上げていますが、クラシカルというのは複雑味ある、ということ。モダンになりすぎるとフレンチのよさをなくしてしまうので」と川手シェフ。過去と現在の融合をテーマとする彼らしい言葉であり、同時に未来へのチャレンジをも感じさせる。
写真左が川手寛康氏で右がソムリエでマネージャーの近藤都志幸氏。二人ともとても素敵。
フレンチに欠かせないワインについては、同じく『カンテサンス』出身のソムリエでマネージャーの近藤都志幸氏に相談を。野菜の前菜、フォアグラ、魚料理、肉料理とコースそれぞれの1皿に合うワインを近藤氏がセレクトしてくれる“ワインのセット”が人気だという。量や予算を考慮して選んでもらえるというから、ワイン選びに自信のない人でも安心だ。
上質で確かな味わいのなかに、創造性が満ちあふれていて、新しい店ならではの勢いも感じさせる『フロリレージュ』。帰り際もシェフを始めスタッフ一同が店の外まで見送ってくれるなど、ゲストを大切にする姿勢にも好感が持てる。この先、もっともっと伸びていくこと必至…そんな未来への予感、いや確信を持たせてくれるレストランだ。
(photo/chikahito nagai、text/yuko kotani)
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Florilege フロリレージュ
東京都港区南青山4-9-9 AOYAMA TMI 1F
Tel:03-6440-0878
営業時間:ランチ 12:00〜14:00(LO)、ディナー 18:30〜21:00(LO)
定休日:水曜日、年末年始
席数:20席(6席までの個室あり)
ランチコースは¥4,200(税込、サービス料10%別途)。
アミューズ、前菜、メイン(2皿構成)、デザート、カフェ。プリフィックススタイル。
ディナーコースは¥10,500(税込、サービス料10%別途)。
スナック、アミューズ、野菜の前菜、フォアグラの前菜、メイン魚、メイン肉(2皿構成)、デザート2皿(フルーツとチョコレート)、カフェ。
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