神宮前の表通りから奥に入った住宅街にある会員制ダイニング、copon norp。隠れ家と呼ぶにふさわしいこの店は、2階にダイニングとカクテルやカフェを楽しめるラウンジ、1階にシガーショップ兼シガーバーという3つの顔を持ち、verita読者にはverita Live! のイベント会場としてもおなじみ。さまざまな用途に使える空間として定評があったが、2009年4月に新しいシェフを迎え、今まで以上に料理が美味しくなったと常連客のあいだで話題に。誰にも教えたくないけれど、本当はこっそり教えたい、そんな店だ。
(写真上)バルサミコの酸味がアクセントとなり、帆立の淡白な味を引き立てる。白バルサミコなので色もキレイ。散らしたエディブルフラワーも美しい。帆立のタルタルとアボカドのワカモレ、白バルサミコのジュレ

「会員制というと高級なイメージがありますが、堅苦しく考えないでください」と、マネージャーの勝部氏。会費や入会条件があるわけではない。たとえばverita読者なら、「veritaのグルメページを見て」といえばOKだ。ただ、完全予約制で、特に週末は貸し切りになることもあるので、出かけるときには電話予約をお忘れなく。
クリスマスシーズンにcopon norpを紹介するのにはふたつの理由がある。この季節になるとどのレストランも連夜混雑し、クリスマス前後は2部制、3部制などと入れ替え制を採ることも少なくない。その点、この店は通常営業時と同じ。時間に追われることなく食事を楽しむことができる。「クリスマスのディナーには、メインに蝦夷鹿のジビエを使ったクリスマスコースがおすすめです。一方、女性同士で気軽に楽しみたいという人にはラウンジでのパーティープランなんてどうでしょう。バーニャカウダやパスタなどアラカルトメニューも¥1,000~¥3,000代で豊富にありますよ」と勝部氏。特別な日にゆっくりくつろげること、それがひとつめの理由だ。
(写真右)「フォアグラは甘いフルーツ系と合わせるのが好き」という片山シェフのセンスが光る一品。ピオーネのコンフィは干しぶどうと生ぶどうとの中間の甘さでフォアグラとの相性も◎。フォアグラのポワレ、レンズ豆のピュレとポルト酒ソース、ピオーネのコンフィ添え
ふたつめの理由は、片山敦貴シェフのセンスあふれる料理。もともと彫刻家を志していたが、十代のころ恵比寿のタイユバン・ロブションで出会ったフランス料理に衝撃を受け、料理の道へ入る決意をしたという片山シェフ。単身フランスに渡り、リヨンにある調理学校を卒業後、西海岸の「リシャール・クータンソー」という2ツ星レストランで修業。日本に帰国してからは渋谷の「ラ・ブランシュ」やひらまつのレストランで経験を積んだという経歴の持ち主だ。芸術家肌でフランス修行の経験もある料理人と聞くと、とがった料理を作りそう……なんて思ってしまうかもしれない。でも、片山シェフの料理は素材の味を活かしたシンプルな調理法が特徴で、ストレートにおいしい。
「一方的に自己表現する芸術と違って、料理は相手がいないと成り立ちません。言葉を使わないコミュニケーションのようなものだから、独りよがりではダメ。お客さまがどういうものを求めてくるのか、今でも毎日どきどきしています」と片山シェフ。この日は12月のコース料理を前菜からデザートまでいただいたが、片山シェフの言葉通り、どれも見た目と舌で食べる者をとことん喜ばせてくれる料理だった。
たとえば前菜の帆立のタルタルとアボカドのワカモレ。まずエディブルフラワーを散らした見た目に惚れ惚れする。淡白な味わいの帆立と濃厚なアボカドを酸味の利いた白バルサミコのジュレで上手にまとめた、見た目も味も調和の取れた美しい前菜だ。
フォアグラのポワレはピオーネのコンフィとの橋渡し役となるレンズ豆のピュレがコクと深みを与えているし、オマールのリゾットは見た目の迫力とは別に、アメリケーヌソースのやわらかな味わいがうれしい。これは片山シェフがフランスの修行時代に初めて覚え、当時、日本人の舌になじむエビの味わいに自身も癒された思い出のソースだという。
赤ワインのボルトレーズソースのおかげで脂っこさを感じさせない和牛ロースグリルは、付け合わせの野菜と一緒に食べるとさらにお肉のうま味が増す。一口、また一口と口に運ぶごとに、やっぱりストレートにおいしいと感じる。決して無難な味だというわけではなく、クリスマスシーズンは主張しすぎない料理で楽しい時間を過ごしてほしいという片山シェフの狙い通りに、豊かで優しい気分になってしまうのだ。
きっと、訪れるたびに、シチュエーションが変わるたびに違った喜びを与えてくれるのだろう。verita編集部一同がこの会員制ダイニングを改めて紹介したい、と思う理由がわかった瞬間だった。2009年の締めくくりに、verita読者であればぜひ一度訪れて欲しい場所だ。
(写真上)かぼちゃ、大根、にんじん、小玉ねぎ、いんげん、トレビスという季節の野菜がたっぷり。和牛ロースのグリル、ボルトレーズソース (写真中)「お米好き、海老好きの日本人が安心して食べられる味」と片山シェフもイチオシ。重くならないようアメリケーヌソースは泡で軽く仕上げている。シンプルなパルミジャーノのリゾットとも合う。オマールのリゾット、アメリケーヌソース (写真左下)ビターチョコを使ったムースは空気を多く含ませ軽めに仕上げた一品。ココアと金箔で描いた星空がかわいい、チョコレートムースとバニラアイス、マドレーヌつき (写真右下)なんと身長192センチという長身の片山シェフは、まだ弱冠28歳の若手。大きな手から生み出される繊細で優しい料理にこれからも注目!
(photo/chikahito nagai、text/yuko kotani)
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copon norp(コポンノープ)
東京都渋谷区神宮前3-15-11
Tel:03-6406-3833
営業時間:ランチ&カフェ12:00〜17:00、ディナー18:00〜22:00(LO)、ラウンジ18:00〜26:00(23:00LO)※22:00以降はバー使用のみ、すべての時間帯で要予約
定休日:日曜、祝日(ただしパーティは可)
席数:30席
ランチコースは¥2,500と¥4,000、デザート¥840〜。カフェのみでの利用もOK。
ディナーコースは¥4,500と¥6,500の2種類。12月24日(木)と25日(金)はメインをジビエにした¥8,400のコースのみ。
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