時計を選ぶ基準は人それぞれだが、時計を知り尽くした人たちが自分のためのこだわりの1点を選ぶ基準は共通している。時計として満足のいく機能。絶対的な信頼性。そしてこれ見よがしでないデザイン。その基準をすべてクリアし、厳しい選択眼を持つ多くの専門家たちが、無数にあるブランドの中から自分のために手に取る時計、それがBell&Rossだ。
(写真上)BR03-92ホワイトセラミック ダイヤモンド:自動巻き ホワイトセラミックケース(ダイヤモンド)ケース径42mm×42mm 81万9000円。Bell&Rossを世界的ブランドに成長させたスクエアケースが印象的。ホワイトセラミックのケースにダイヤモンドを配した、ゴージャスながら爽やかな逸品
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高校の同級生だったデザイナーのブルーノ・ベラミッシュと、フィナンシャルを担当するカルロス・ロシロの二人が、1991年、パリで創業した時計ブランド。二人の愛称、ベルとロスが社名の由来だ。時計好きだった二人は、ドイツで航空機の計器盤をイメージしたクロノグラフを中心にした、特殊時計を得意とするジン社で時計造りを学び、独立。ブランドのファーストモデルは、Bell&Ross by Sinnとして、ジン社より発売された。(この二つのブランドは、ミリタリーテイスト、プロフェッショナルユースを前提とした時計作りなど、コンセプトの多くを共有していることでも知られている)
1998年には、初めてのオリジナルモデル、「ヴィンテージ」シリーズを発表。機能性を極限的な美にまで押し上げたこのモデルは、今や定番の逸品となっている。また、同年より、シャネルとの資本提携を結び、以来、生産拠点を一部共有し、商品の共同開発を行うなど、モード界との結びつきも深い。Bell&Rossが広く知られることになったのは、2005年に発売された「BR-01」の登場に拠るところが大きい。
(写真左)空軍のパイロットも愛用している「BR-01」。この事実が、Bell&Rossが生み出す時計の高い信頼性を証明している。航空機のパイロット、宇宙飛行士、深海ダイバーら、プロフェッショナルユースを前提とした時計作りもコンセプトのひとつ
最大の特徴はシャープな角型ケース。丸や長方形が主流だった当時、その斬新さに注目が集まると同時に、シンプルな中にも、モードの国フランスのエスプリを感じさせる洗練されたデザイン性も兼ね備えていることが世界の時計好きたちを魅了したのだ。
コレクターたちを唸らせるためには、時を知る、時を図るという時計としての機能性が高いことも必須条件だが、その点、軍用機のコックピットをそのままくり抜いたかのような視認性の高いフェイスは十二分に満足できるものだ。発表と同時に、信頼性、機能性を最も重視するフランス空軍が、設立間もないブランドの商品をあえて採用したことからも、Bell&Rossのずば抜けた信頼度の高さが伺える。
2005年のBasel Fairでの発表以来、爆発的なヒットとなった「BR-01」は、ケースサイズが46ミリとかなりボリュームがあるものだが、2006年にはダウンサイズされた42ミリの「BR-03」が発売され、今年年内には39ミリのBR-Sが発売予定。これらスクエア・ケースのモデルは全て取り外しが可能で、別売りのアクセサリーを使って、ペンダントにしたり、クロックにしたり、計器として使用することもできるのも人気の秘密だ。また、発表と同時に売り切れたという、文字盤がすべてブラックに塗られたファントム(BR-01)に代表される、世界限定品も多く、希少価値が高いところも“人とは違うもの”を選択の基準にする人々の心をくすぐる。「BR-01」「BR-03」ともに、女性には大きめの造りだが、細く華奢な腕に巻かれたマッシブなデザインという、アンビバレンスが好評で、ファッション業界、マスコミ業界の女性たちに愛用者が多いという。
また、女性に最も人気のモデルといえば、2004年のシリーズ発売以来、大ヒットを誇っている「ミステリー・ダイヤモンド」。フェイスから浮かび上がるようにセットされた粒ダイヤ自体が、時針となって時を刻む。ダイヤモンドに機能を持たせるあたり、Bell&Rossならではの粋なアイディアといえるだろう。
時計の基本である視認性、全モデルへの10気圧以上の防水性など、真面目で無骨なメカとしての性質だけではなく、洗練をまとったBell&Rossの時計たち。すべては、「デザインは機能に従う」という一貫したブランド哲学を体現している。いろいろ使ってはみたけれど、どれも何か物足りないという方こそ、Bell&Rossの時計を手にとって、もう一度、時計の魅力を原点から実感してみてはいかがだろうか。
(text / june makiguchi)
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