Bob Dylan 『She Belongs To Me』
パリのジャズ発信地 Duc des Lombards

今から30年前、専ら男性に支持され、さらには「熟年男性層」というイメージが焼きついていたジャズの世界。15年ほど前より、ようやく女性たちにも親しまれるようになってきたという。30年代後半から40年代初期を思わせる、パリの“ニューヨーク52番通り”をお探しであれば、それは100メートル圏内に4つのクラブ;Sunset、Sunside、Baiser salé、そしてDuc des Lombardsが点在するパリのジャズ発信地帯、ロンバール通りだ。

2008年2月、8カ月間の大々的な改装工事を完了して、リニューアル・オープンしたDuc des Lombards(デュック・デ・ロンバール)は、日本人女性ジャズ奏者、穐吉敏子のパリにおける40数年ぶりのトリオを実現させたばかり。「これからのジャズ界に対する、20~30代女性の関心・参加はポジティブである」と語る、アート・ディレクター、ジャン・ミッシェル・プルーストにインタビューをした。

「ジャズは、社会や政治と呼吸しながら存在するが、新しい時代のジャズには、そのきっかけとなる要因があるわけではない。だから、なおさら興味深い」とジャン・ミッシェルは、TSF(仏ジャズラジオ番組)のプログラム・ディレクターとしての経験から、さらに興味深い発言を続けた。「中央集権的なラジオ番組RTLが制覇するフランスで、タクシーの運転手が、ジャズ、つまりTSLを聴くようになった。分り易く説明すると、若者が、クラシックが流れるタクシーに乗車したら、退屈と感じ、熟年層がロックに眉をひそめるけれど、ジャズなら違和感がない。ジャズは、世代を横つながりにさせる」。新しいジャズ時代の到来は、ダンスのためのジャズ、知的なモダンジャズという分立していた存在、つまり身体と知性をようやく一体化させたようだ。


(写真上)アート・ディレクターのジャン・ミッシェル・プルースト

「ジャズの情熱を観衆に伝え、民主化していくことが、任務である」と語る彼に、ジャズのあるべき姿について尋ねると、「感情の意味でのエレガンス、生活の中の知的さ、他人に耳を傾けること、寛大さ、即興、分かち合うこと、もてなし」という言葉をつないだ。「アート・ディレクターとしては、舞台の上でこれらを演出しなくてはならない」。

インタビューの数分後には、その晩の第一コンサートを控えていた。「John Coltraneに育まれた彼らが、今晩初めてカルテットを結成し、スピリチュアルかつマスター作品ともいえる“A Love Supreme”を演奏する。前代未聞の時を過ごすことになる」と微笑んだ。

(写真左)「美味しく、健康によく、地球にも優しく」を提唱する、リヨンの星付きシェフ、アラン・アレクサニアンが料理を担当 

(写真右)クラブ内装を担当したインテリア・デザイナー、エリオット・バーンズ。ストーリーを喚起させるインテリアは、1943年、デューク・エリントンの人気絶頂期にカーネギー・ホールで行われた「Black, Brown and Beige組曲」のセッションに思いを寄せて 

「ここは、Maison du Jazz(=ジャズの家)。だから、ほっと一息をつく、美味しく食べる、仲間たちと会う場所。演奏家も観衆も、家に迎えられているのです」。素晴らしい魂を持った人々とのチームワークで支えられている、Duc des Lombardsの素顔に触れた瞬間である。
(interview、text / Kaoru URATA)

2008年3月26日~4月5日にパリ界隈のジャズクラブで開催される「Bose Blue Note Jazz Festival」。この期間中、デュック・デ・ロンバールでは、3月27日、ジャズの名歌手にして女優のDee Dee Bridgewaterの娘、China Mosesがボーカル出演。また、4月2日・3日には、現役トランペット奏者として最も注目を浴びるTom Harrellが舞台に立つのでこちらもおすすめ。

■Bose Blue Note Jazz Festival オフィシャルWebサイト

Duc des Lombards(デュック・デ・ロンバール)

42, rue des Lombards 75001 Paris, France
Tel:01-42-33-22-88
営業時間:
バー&レストラン…10:00~17:00(18:30~アペリティフ“After work”タイム)
第一コンサート…20:00~
第二コンサート…22:00~

※コンサート後、午前3時まで“After hours”タイム
※世界の名ジャズクラブと同様に、第一と第二コンサートは同じアーティストによる演奏
※金曜・土曜の午前0時と日曜のランチタイムの“Autour d’un piano”(ピアノの周りで)はエントランスフリー

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