今年は"日本人ブラジル移民100周年"という、生涯で二度と訪れることのない節目の年です。100年前に神戸を出港した第一回移民船「笠戸丸」は、約2カ月間の厳しい航海を経て、ブラジル・サンパウロ州のサントス港に着岸しました。
僕がブラジルを初めて訪れたのは94年。THE POLICE やU2などのロックバンドに強い影響を受け、THE BOOMを結成し、89年にデビューしたのですが、活動を続ける中で、自分たちの本当のルーツミュージック、音楽そのものの根源を求めて、沖縄、バリ島、ジャマイカ、キューバなど旅を続け、そして、ブラジルへと辿り着きました。
その中で出会ったのが、ジルベルト・ジルの音楽。彼は60年代後半、まだ軍事政権下にあったブラジルで、当時のフラワームーブメントに呼応して、カエターノ・ヴェローゾ、ガル・コスタらと共に「トロピカリズモ」という音楽を中心とした文化運動を提唱しました。その後も、90年代初頭に盟友カエターノと、その続編といえる作品「トロピカリア2」を発表するなど、現在もブラジルで最も愛されている音楽家の一人です。
そして僕は、96年にTHE BOOMとして、ジルの「トロピカリズモ」に対する日本からの返答ともいうべき作品『TROPICALISM -0゜』をリリース。その翌年に、ドイツのイベント会場で初めてジルと会うことができました。「僕らが蒔いた種が、日が昇る国で育っているんだなって思い、とても誇らしく感じたよ」と、彼が言ってくれたことを、よく覚えています。

書き下ろしの新作としては11年ぶりとなるジルの新作『Banda Larga Cordel/バンダ・ラルガ・コルデル』が、8月6日に発売されました。バンダ・ラルガとはブロードバンドという意味なのですが、最先端の技術と自らの音楽をミックスアップさせたこの作品は、まさに「トロピカリズモ」の精神に則った内容に仕上がっています。
ジルとは、この9月に、彼のジャパンツアー、そして僕とブラジルの14年間にわたる関わりの集大成ともいえる「愛知ブラジル交流フェスタ」、「10,000SAMBA! 〜日伯移民100周年記念音楽フェスタ」で、久し振りに同じステージに立つことができました。
彼の独特の感性、そして「伝統と革新」=「トロピカリズモ」を胸に抱いて活動を続けるその姿は、今後も僕の音楽活動の指標になっていくことは間違いありません。
(text / kazufumi miyazawa)
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宮沢和史/kazufumi miyazawa
1989年、THE BOOMのボーカルとしてデビュー。代表曲「島唄」は世界各国でカバーされる。2006年にGANGA ZUMBA(ガンガズンバ)を結成。9月に日本ブラジル交流年100周年を記念し、「愛知ブラジル交流フェスタ」、横浜では「10,000SAMBA!」を開催。
■GANGA ZUMBA オフィシャルWebサイト
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