'70年代、アメリカで活躍したシンガー、ジャニス・ジョプリン。
「もし彼女が今、生きていたら、どんなブルースを唄うのだろう……」
そんな想いもあって、'06年にGIBIER du MARI(ジビエ・ドゥ・マリ)というブルースバンドを始めた。30年位前になるだろうか、彼女のアルバムを初めて聴いた私は、こんなすごいシンガーがいるのかと腰を抜かしたものだ。あれから随分な時間がたって、今やっとジャニスのうたを唄い始めた。夭折した彼女はわずか3年程しかメジャーシーンで活躍していないが、伝説のウッドストックでの彼女のステージは圧巻だった。
ジャニスのうたを唄うことは、日本人の私にとってはバックグランドが違うので、なかなかむずかしい。それでも、過去2枚のアルバムで「CRY BABY」、「MOVE OVER」、「KOZMIC BLUES」、「SUMMER TIME」などを唄ってきた。そして今年の11月25日にリリースした、私達の3枚目のアルバム『One of Love』でも、「TRY」、「Me & Bobby McGee」といったジャニスの曲をRecordingした。今回1曲目に収録されている「TRY」は、実は過去2枚のアルバムでも収録したくて、本国のレコード会社から許諾を得ようと文字通り“TRY”してきた。しかし…なかなかOKが出ず断念していた。

『Try (Just a Little Bit Harder) 』(アルバム『I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama! 』に収録)
この曲は、ジャニスのライブ盤がとにかくいい。「好きな男がいて、どうもその男には女がいるらしいけれど、みんなそんな時も“TRY”するのよ」と、唄う前にジャニスがオーディエンスに語りかける。そんな彼女の熱い想いのMCから唄に入る。私は若い女性から相談を受けるとき、いつもこの歌を思い出してしまう。
私自身にも彼女の言葉を言い聞かせる意味も込めて、3枚目のアルバムにはどうしても「TRY」を入れたかった。3度目の正直となった今回は……無事、許可を得ることができた。しかし、どうしても日本語の歌詞のOKが出ず、それならばと英語のまま唄っている。歌のうまい歌手仲間からは「よく唄えるわね」などと言われるが、私は唄いたいものは唄う、恐いもの知らずだ。そんなジャニスの曲をはじめ、オリジナルとしては初めてのラブバラード「One of Love」も収録した男前な今回のアルバム、是非、聴いていただきたい。
(text / Mari Natsuki)
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プレーヤー、ディレクターとしてマルチな活動を続ける夏木マリと、名パーカッショニスト・斎藤ノブによる大人を酔わせるブルースロックバンド“ジビエ・ドゥ・マリ”のニューアルバム。
MISIAの名バラードの作曲などで知られる松本俊明氏が書き下ろした、タイトルチューンでもあるオリジナルの新曲「One of Love」をはじめ、ウルフルズ「ランデブーチョ」、斉藤和義「ポストにマヨネーズ」、ジャニス・ジョップリン「TRY」など味わい深いさまざまなカバー曲を収録。今が旬のジビエを堪能するべく、夏木マリと“5人の野獣たち”を味わいつくしてみて。
ジビエ・ドゥ・マリ『One of Love』
PCCA-03048 ¥2,800(税込) 9曲入り 発売元:ポニーキャニオン
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夏木マリ/Mari Natsuki
'73年、「絹の靴下」で歌手デビュー。'80年代より演劇に活動の幅を広げ、数々の演劇賞を受賞。コンセプチュアルアートシアター「印象派」では身体能力を究めた芸術表現を確立し、国内外で演出。「千と千尋の神隠し」に代表される声優活動、舞台「シェイクスピア」などの翻訳劇から音楽劇、アートシーンまで多岐に渡るジャンルからのオファーが絶えない。'06年に結成したブルースバンド「ジビエ・ドゥ・マリ」として、2009年11月25日にアルバム『One of Love』リリース。'09年6月、「One of Loveプロジェクト」でバラの販売を通じて途上国の子どもたちを支援する活動を始めた。近著に『泣きっ面にマリ』(講談社)などがある。
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