もちろんR・ニューマンに関しては数十年前から聴いてはいるのだが、(あくまでも僕にとって)彼の音楽がリアリティを持って響き出したのはここ数年である。自分の年齢のことは勿論あるだろう。40代も中盤を過ぎたからこそ彼の音楽がわかるのだ、という言い方も間違いではないと思う。しかし世の状況を見渡し、時には憂い、また微力ながら自分という人間にできることは~などと考えだしたとき、彼の音楽は語りかけてくる。人間の可能性、と同時に、なんともちっぽけで無力であることをわからせてくれるのだ――しかも的確に。
表面的にはノスタルジックで"良きアメリカ"を思わせるサウンドでありながらかなりアイロニックな歌詞。R・ニューマンの楽しみ方はそこなのだが、語られる言葉以上のメッセージを最近は感じてしまう。

まったくケレン味のないサウンド、朴訥とした歌唱。しかしソング・ライターとしての誠意が強く感じられるからこそ、僕は彼を信頼し続ける。そして誠意ある作品だからこそ、語っている以上の、そして普遍的なメッセージとして耳に響いてくるのだろう。
泣けと言わんばかりの感傷的にすぎるメロディ、体を揺らすこと以外認めない強制的なビート、メッセージの内容以前に耳を塞ぎたくなる押し付けがましさ。彼の音楽はこれら聴きたくないものをまったく含まない。しかし必要なものはすべて揃っている――耳をすませば、だ。声高ではない表現にこそ重要な何かが潜んでいるのは間違いないようだ。
(text / Keiichi Tomita)
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2003年に発表された『Shipbuilding』、2006年の『Shiplaunching』に続く、“Shipシリーズ”の完結編となる新作。シングルとしてリリースされた「エトワール feat. キリンジ」、「パラレル feat. 秦基博」、「あの木の下で会いましょう feat. 安藤裕子」をはじめ、鈴木慶一や佐野元春らを招くなど、過去2作と同様に豪華アーティストとのコラボ曲を多数収録。ほかにもゲストボーカルと作詞で吉田美奈子や一十三十一、作詞で桜井秀俊が参加する。初回限定盤は2曲のビデオクリップを収録したDVD付きなので、冨田ラボの世界を映像とともに堪能して。
冨田ラボ『Shipahead』
初回限定盤【CD+DVD】¥3,465 RZCD-46436/B
通常盤【CD】¥3,059 RZCD-46437 発売元:rhythm zone
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冨田ラボ/Lab Tomita
キリンジや中島美嘉、BONNIE PINKなど数多くのアーティストの楽曲を手がける音楽プロデューサー冨田恵一によるソロプロジェクト。“アーティストありき”で楽曲制作を行うプロデュース活動に対し、“楽曲ありき”でその楽曲イメージに合うボーカリストをフィーチャリングしていくことを前提として、自身のサウンドを追及してくことを目的に立ち上げた。2003年にアルバム『Shipbuilding』をリリース。ゲストボーカルに、松任谷由実、ハナレグミ、キリンジらを迎えた話題作となる。2006年にはセカンドアルバム『Shiplaunching』を、2010年2月3日に最新作となるサードアルバム『Shipahead』をリリース。
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