バッハを若い頃から弾き続けている。子供の頃はバッハだけを弾いていたかった。バッハはピアノに触れない数日間の後、いつも最初に弾く作曲家。そう、自分自身の音楽の源だ。一方、10年前に初めて聴いたエレクトロニカサウンドは、ミニマリスティックでグルーヴィーな感覚だった。クラシックとエレクトロ、このふたつが僕の音楽に多様性を持たせてくれている。
たとえば先日も、日本で2週間クラシックコンサートに集中していたかと思えば、その直後にエレクトロニカライブで日本の観客に楽しんでもらうことに集中した。その後、休む暇もなくヨーロッパに戻り、自分のエレクトロバンド「Aufgang」のライブで演奏する。つまり頭を瞬時に再構築する、こんな変化が僕にとっては必要なんだ。なんだか不思議な感じがするけれど、そんなスタイルを楽しんでいるよ。

ツアー中は他の音楽を聴くことに集中できないけど、そんな状況でもおすすめしたいアルバムがある。メキシコのMurcof(本名:Fernando Corona)っていうプロデューサーが手がけた『the Versailles sessions』だ。2008年に発表されたアルバムで、バロック調の音楽的な要素が最新のテクノロジーのように使われ、すばらしい効果を生み出しているんだよ。それはまるで未来から過去への贈り物のような音楽であり……その逆ともいえるかもしれない。今は“現代音楽”としか言い表せないこのアルバムが、いつか音楽のジャンルというものがなくなる時代が来ることを示唆するものだと信じている。現代の世界は信じられないくらい素晴らしい。でも、誰がこの時代がベストだといえるだろうか? このアルバムは僕に考えさせ、夢を見させ、そして多くの問いを投げかける。Murcofもまた、人生の謎に魅せられた一人なんだ、きっと。
(by Francesco Tristano Schlime interview / Noriko Honma Legendspress)
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端正な容姿と卓越した才能により、クラシック界とダンス・シーンの双方から注目されるピアニスト、フランチェスコ・シュリメと、レバノンの作曲家でありウード奏者との活動でも著名なラーミ・ハリーフェ、フランス発のエレクトロ・ユニット「カシアス」のドラマーとして世界的な名声を得ているエイメリック・ヴェストリヒの3人からなる「Aufgang」。2010年2月に発売されたデビューアルバム『Aufgang』は、アコースティック/エレクトロニックという垣根を超えて、人々の心を揺さぶる傑作として高く評価された。クラシック、エレクトロのファンはもちろん、イケメン好きのあなたもぜひ一度聴いてみて!
Aufgang『Aufgang』
¥2,380(税込) EXCD-1125
発売元:Third-Ear JPN Ltd.
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フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ
1981年、ルクセンブルク生まれのピアニスト。幼少よりルクセンブルク音楽院や王立ブリュッセル音楽院、パリ市立音楽院などでピアノを学び、ジュリアード音楽院で修士の学位を得る。2004年のオルレアン20世紀音楽国際ピアノコンクールで優勝し、ルクセンブルク・フィルハーモニーによりヨーロッパコンサート協会の「ライジングスター」ネットワーク・アーティストに選出。ソリストとしての活動のほか、実験的な音楽ユニット「Aufgang」にも参加し、精力的に活動。現在は、ヨーロッパを拠点に世界中に活動の場を広げている。2010年2月に来日し、東京と大阪でクラシックコンサートを開催。3月にはユニバーサル・クラシックス&ジャズ(ドイツ)と専属契約を結んだ。ファースト・アルバムは、J.S.バッハ、ジョン・ケージ、トリスターノの新作の内容で来春ドイツ・グラモフォンからリリースされる予定。これを期にシュリメという名前が消え、今後フランチェスコ・トリスターノの名前で活動を行う。また、2011年6月に再来日が決定した。
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