

1月といえば日本人にとって、古来より好んできた“初”ものが多い月とあってお祝いの行事も多い。“初”詣で、“初”日の出などは全国的に知られた行事でもあるし、伝統職人たちは“初”のつく儀式を神社などで行う。
大相撲も例外でなく、一年の始まりに初めて行われる場所を“初”場所という。先日、何年かぶりに大相撲をテレビ観戦したのだが、外国人力士が多く活躍し、改めて日本のスポーツが国際化しているのだと感じた。そして国際化は伝統スポーツの分野だけではなくいけばなや、茶道などの伝統芸能の世界でも進んでいる。今回は「お茶」に焦点を当ててみたい。
そもそも「お茶」というものは日本古来より生息した植物ではなく、外来のものだ。日本には大陸から仏教とともに伝来してきたものだといわれている。奈良・平安時代に遣唐使で留学した仏教僧徒が、お茶の種子を日本に持ち帰り、寺院でお茶の木を栽培したのが始まりだ。当初お茶は、修行中の眠気覚ましのために服用されていたのだというから、コーヒーがイスラム教の修行僧の間で眠気覚ましに使われていたという歴史と重なる。
大陸ではお茶は迫害される対象となったようである。14世紀末の韓国では、李王朝が儒教で国を統治し、仏教を弾圧したため、仏教と密接にかかわりがあったためお茶の木の栽培が減少し、緑茶をのむ習慣が薄れたという。また中国では、20世紀に入ると文化大革命下でお茶は贅沢の象徴だとされて、お茶の栽培が制限されたという歴史がある。
日本伝来当初、お茶はごく限られた人口にのみ服用されていたのだが、時代を経てより多くの人々の間に広まった。その過程で「茶道」という作法が確立され、いまでは伝統文化のひとつとなって人々の間では浸透している。数多くある茶道の流派の中でも裏千家では、千玄室氏が提唱する「一碗からピースフルネスを」をテーマに、世界平和に貢献する茶道を目指している。日本の伝統文化に魅せられて裏千家に入門し、京都で修業する外国人茶道家や海外で活躍している外国人茶道家の人口は年々増えていっている。
現在はペットボトルのお茶が普及したことによって、お茶の需要が拡大し、1995年を境にそれまで生産量首位であった炭酸飲料を、茶系飲料の生産量が上回った。茶系飲料の中でも、緑茶飲料の伸びが目覚しく、疑いも無く「お茶」は、日本人の日常生活に欠かせないものとなっている。
◆ 東京ガスWebサイト「食の生活110番Q&A」より
◆ 伊藤園「お茶百科」より
◆ 社会実情データ図録「清涼飲料の推移」より
◆ 静岡県牧の原市Webサイト
そして1月、茶道の世界ではお初釜という、“初”のつく儀式がある。より身近になったお茶だからこそ、今一度改めてその歴史を振り返り、すこし特別感のあるお抹茶を拝してみるのはどうだろうか? もしかしたらその“初めて”の一杯の中に、伝統文化のこころを大切にしながらも国際化していく日本を味わうことができるかもしれない。
丹羽 康子/ Yasuko Niwa
英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけではなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経た後、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。









