

近年、都会化した日本でも自然派志向のはやりで「LOHAS」という言葉がもてはやされ、アロマセラピーやマクロビオテックを生活に取り入れる人々が少なくない。そして、まだ多くの人は耳慣れてはいないだろうが、海外発の潮流でつぎに日本でも注目されているのが「ホメオパシー」である。
10年ほど前、私自身がイギリスに住んでいたころにちょうどホメオパシーがはやり、本屋さんのアロマセラピーなど雑学書籍のコーナーに行くと数冊は並んでいたのを覚えている。ホメオパシーはヨーロッパでは人気の手法で、特にイギリスでは人気高く、調べたところによるとイギリス王室や、サッカー選手ベッカムなども実践しているらしい。
当時は気にも留めなかったが、自然のもの(人工的に作られたものや、科学的につくられていないもの)を利用して病気を治す民間療法の本だった。実はホメオパシーは奥深く、およそ200年前にドイツの医者ハーネマンという人が確立した「知恵」だそうだ。ここで「知恵」としたのは、いまだにホメオパシーは医学、生物学上では療法としては科学的な説明がつけられずにいるからである。従来、医療薬として効果のあるとされている療剤(レメディ)を10~100倍の水に超希釈化し、その療剤の「記憶」を頼りに病状を治していく、というものである。医学的には療剤があまりにも微量なために「偽薬(※)」と変わらないとされていて、従来、ホメオパシー療法と偽薬の効果は同じだとされてきた。
イギリス、フランス、ドイツなどでは健康保険の適用が認めてられているほど認知されているものの、ホメオパシーの効果に関しての論争は激しいようだ。ホメオパシーはアメリカでは年間およそ2億ドルの産業だとも言われていて、カリフォニア州では“unfair business practices and false advertising (不当な商売と虚偽広告)”である、という訴訟にまで発展している。
ところが、イギリスの薬学専門誌“British Medical Journal”で、ホメオパシーの効果は偽薬以上の効果を導き出している、という論文が載ったので、マスコミもホメオパシーに注目するようになった。ホメオパシーの療剤は超希釈化されているため、身体へ害や中毒症状などの副作用がないとされている上、安価に作ることができる。1996年のアメリカで、2,000万ドルの売上げを記録したホメオパシーの薬Oscillococcinum(元はフランスで開発された製品)は年間アヒル1匹の心臓と肝臓のみを成分としているそうだ。
◆ The Japan Times 記事
“Homeopathy: really more than just a placebo”
◆ ホメオセラピーに関する訴訟
そしていま、日本でもホメオパシーを実践する人々が増えている。この新しい療法が日本に根付くのかどうかは不明である。しかし、日本にも伝統的な民間療法などがたくさん存在し、受け入れるだけの器があると思われる。もしかしたら、葛湯もいつかはホメオパシーのレメディに取り入れられ、世界中で飲まれる日がくるかもしれない。
※偽薬…ある医薬品の真の効果を試験するため、あるいは患者の気休めのため与える、乳糖など生理作用のない物質で製した薬
丹羽 康子/ Yasuko Niwa
英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけではなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経た後、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。







