
エフテル:「フランスでは日本よりもっとオープンなのに、養子縁組に抵抗がある人は多いですよね。自分の子供を産むために、生殖医療、食事療法などを長いこと続けたりして、大変な時間と労力を注ぐ。それならなんで、養子をもらわないのか疑問です。社会の差別というだけでなく、自分の子供をという意識が強いんですね。“血を分けた子でないと、私みたいに素晴らしい人間にならない”とでも思っているのかも(笑)」
牧口:「自分の子供、他人の子供、と初めから決めてしまう」
エフテル:「そう。一般的に、子供が好きだという人は多いけれど、実はそうじゃない。あれは自分の子供が好きなんですよ(笑)」

奥村:「ただ、養子と自分の産んだ子供を、本当に分け隔てなく育てられるかという不安や疑問を持つ人は多いと思う。でもこれは悩まなきゃいけないこと。きちんと考えて消化するべき。問題と向き合うための勇気を持つには、まずは人として成熟してってことですかね(笑)。あと、ボランティア精神。海外の方は、成功したら還元しますよね」
エフテル:「欧米人は、他国の事情にも興味があり、責任を持つけれど、日本人はあまり関心がないという印象があります。」
丹羽:「ノーブレス・オブリージ(高貴なる義務)という考えもありますよね」
牧口:「欧米社会では成功者は人々のお手本、という意識がありますよね。日本の企業は、慈善事業をやっていても、そう表明しないところも多い。そういうことは、ひっそりやるものだという考えが残っていますよね」
奥村:「いい事をしていても言わないというのは、日本の美徳でもある。自分から言うと鼻につく、と考える寂しさがある。なんとか上手くできないでしょうかね」
牧口:「何もしてないよりいいじゃないと思える大らかさが、社会にも必要かも」
エフテル:「NPO、NGOが日本に進出する際、日本では消費者が厳しいから、信頼感を得るのが難しいと言われています。ただ、きちんとした制度を作れば決して難しいわけではないと思います。現在、メドゥサン・デュ・モンド ジャポンでは、個人からの収入が90%、企業からは10%ですよ」
奥村:「私は、メドゥサン・デュ・モンド ジャポンのシールが可愛いので募金しました(笑)。赤い羽根とか、緑の羽根とかもいいと思う。期間中、政治家とかがつけているのを見て、嫌らしいという人もいるけれど。あと、寄付した人がもっと一歩踏み込んで、そのお金はどこへ行ったんだと考える必要はあるかもしれませんね」
エフテル:「最近は、寄付する団体の趣旨に賛同して、お金だけでなく一緒に活動する意識を持つという人は増えていますよ」
牧口:「寄付の、その先まで見つめることは、寄付した者の責任なのかもしれませんね」

今年で15回目を数えるこのフランス映画祭。2005年開催時には、この『約束の旅路』もひと足早く上映し、来日した監督や俳優たちとのティーチインなども催した、とても充実した素敵なお祭りである。今年も上映される作品はすべてジャパンプレミア全16作品。カトリーヌ・ドヌーブを団長とする総勢100名のフランス代表団の来日、彼らと直接ふれあえるQ&Aやサイン会などなど。ファン垂涎のイベントが盛りだくさん。こんな機会は年に一度だけ。あなたも足を運んでみては?

『ルネッサンス』
「美しくありたい、永遠に若く美しく、健康でありたい……」これは、この作品の中で、しょっちゅう出てくる複合企業体アヴァロン社のコマーシャルの言葉。舞台は近未来のパリ。この会社に勤める研究者イローナが、何物かに誘拐され、一匹狼の敏腕刑事カラスが追う。次第にこの誘拐の背景には“ルネッサンス・プロトコル”という不老不死をも可能にする壮大なプロジェクトが!で、冒頭の言葉。これって、私たち皆が追い求める永遠の願望でもある。モラルとインモラル。この映画を観た後、あなたはどんな風に感じるでしょう。モノクロと言うにはあまりにも美しい、光と墨の世界を堪能して。

[スタッフ]
監督:クリスチャン・ヴォルックマン
製作:アトン・スマシュ、ロック・レネール、アレクシ・ヴォナルブ
脚本:マチュー・ドラポルト
アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール
パトリック・レナル、ジャン=ベルナール・プイ
音楽:ニコラス・ドッド
オリジナル・デザイン:クリスチャン・ヴォルクマン
[キャスト]
(声の出演)
ダニエル・クレイグ(カラス)
キャサリン・マコーマック(ビスレーン)