パンストはコンビニでも簡単に手に入るのでガーター用ストッキングに話を移すが、こちらも安価なものからフルファッション・ストッキング(Fully Fashioned Stockings)という最も古典的なものでは、大きな違いがある。筆者個人の好みは、何といってもこのフルファッションのほうで、写真を見ていただければわかるように背部にシームのラインがあり、太腿の部分、ダブルウェルトには円状の穴がある。ナイロン糸も伸縮性のないものをキメ細やかに織るので、形態そのものが見事に脚のカタチのままになっている。それゆえ穿いたときにシワも寄りやすく、女性はそういうところにまで気を遣うことになるが、男性の側からすれば、そのシワもエロティシズムのひとつとなる。
(写真右)古典的なストッキングとガーターの留め具部

このフルファッション・ストッキングの魅力について女性の側から見事に表現したのが<リュー・ドゥ・リュー>(※)のオーナー龍多美子氏で、著書『すべてはガーターベルトから始まった』に次のように書いている。「ストッキングの拘束感は、なぜ快感なのだろうか?(中略)足首からふくらはぎにかけての強い拘束感、これと対照的な太腿からお尻にかけての無防備なほどの開放感。このコントラストは、はき続けていくうちにいつしかたまらない快感となる」。
ちなみに彼女は、「ガーターベルトとシーム・ストッキングを着けた自分の姿を、とても綺麗だと思ったし、可愛いと思った。こんな私を、彼は愛さないはずはないとも思った」とまで書いている。脚へのフェティシズムは男の側にあるものかもしれないが、フェティッシュ化させる快感を女の側が握ることができることを表していて面白い。

(写真上)アリストック社製「Harmony Point」
フルファッション・ストッキングの詳細は、実物でないとなかなか説明がしづらい。似たようなストッキングは、いくつかのメーカーが今でも作っているが、本格的なものはイギリスのAristoc社製のものが最も有名で日本でも人気が高かった。青山や六本木あたりの輸入下着店には、たいてい置かれていたものだ。ところが、1990年代半ばにAristoc社は、この古典的なストッキングを製造する機械を廃棄してしまう。ゆえに廃盤となってしまったわけだが、「Harmony Point」という商品名のこのストッキングは、今でも国内外のオークションで根強い人気を誇っている。ちなみに同じくイギリスのGIOというメーカーがAristoc社の古い機械を用いて今でもフルファッション・ストッキングを製造しているので、似たようなものなら入手できなくはない。![]()
※リュー・ドゥ・リュー/Rue de Ryu
輸入下着の専門店
。ガーターベルトの素晴らしさを伝えるべく龍多美子氏によって82年、東京・代官山にオープン。
その後南青山に移転し、現在に至る。