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インスパイアされたクリエイターたち

最近では、台湾のホウ・シャオシェン監督が『 ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』の中で、強いオマージュを捧げているのが印象深い。『赤い風船』のデジタルリマスター版とともに、2007年のカンヌ国際映画祭に出品され大きな注目を集めた『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』は、オルセー美術館開館20周年事業プロジェクトの一環で作られた。さまざまな問題をひとりで抱え込んでいるヒロインのスザンヌや、その息子シモン、映画『赤い風船』が大好きな中国人留学生ソンが登場し、パリの日常、現代社会の孤独と希望を映し出す。『赤い風船』同様に、パリの街をゆらゆらと漂う風船が冒頭から現われるが、その様子は揺れ動く登場人物たちを見守るかのようだ。

信号、バッグ、カーテン、スタンドなどワンシーン、ワンシーンに置かれた赤いモチーフや、赤味の効いた映像からは温かみだけではなく、ラモリス監督への敬意も感じられる。また、原作同様、自由、解放を感じさせるラストシーンにも感慨深いものがある。ところで、『赤い風船』の舞台となったのは、今ではアーティストが多く住むというパリのメニルモンタン界隈だというが、現在、そこにあるビルの壁面には、赤い風船が描かれていて観光名所のひとつとなっている。『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』にもその風景が登場。いかにラモリスの作品が愛され続けているかを映像で語っているのも面白い。

(写真上)映画『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』より
(写真下)ビルの壁に赤い風船が描かれている
© 3H PRODUCTIONS-MARGO FILMS-LES FIMS DU LENDEMAIN-ARTE France Cinema

このように、“赤い風船”は、時代を超えて、国境を越えて、多くの人々の心に舞い降りた。そして今年、デジタルリマスターにより甦った“風船”が日本にもやってくる。そしてきっと、あなたの心にも何かを残してくれるに違いない。
(text / june makiguchi)

cinemacinemacafe.net Specials 『赤い風船』特集
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