強さとエレガンスの関係

今回は世界で一番怖がられているファッションジャーナリスト、スージー・メンケスの先シーズンの原稿見出しを使わせていただきましょう。

この言葉にモードの世界の現実があります。モードの作り手たちは、それが彼らの強がりであり、エゴであり、或る時は一人芝居であることさえも自覚し、確認しないままに、この言葉を信じきり、使いこなしてここまで来てしまったのです。言い換えれば、これが築き上げられたファッションの世界だということです。これを理解していなければ、コム・デ・ギャルソンのように、スージー・メンケスに評論してもらえるような巴里のトップデザイナーには到底、なれません。

よく言われますが、時代は変わりました。例えば、20世紀までにあったはずの、私たちが遠くを思い求めた『夢』は、今は誰でもが、すぐに近くで手に入れられ、求められる『夢』となり、もう一方では求めてはならない『夢』になったのが、この21世紀でしょう。通信機器とメディアの発達によってあるべきはずの『距離』が、『スピード』が、『時間』が短縮され、そして、ケータイ登場以後、私たちの生活環境においてのあるべきはずだった『距離』が完全に『消滅』化してしまったようです。そうです、フラットな情報量で在るべきはずの『差異』がなくなってしまったのです。

この様に、すっかり変質してしまった私たちの『夢』において、20世紀に作られたモードの価値観である、『流行』という新しさのサイクル、即ち『トレンド』は未だ、賞味期限内なのでしょうか? どれだけの神通力が未だ、あるのでしょうか? この疑問がそろそろ時代の表層へ新たな亀裂として現れる時代になり始めたようです。

この変化の象徴の一つに、7月1日のY.サンローランの死があります。そして、もう一つには、ファッションビジネスの低下、減速があります。

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イヴ・サンローランのスモーキングスーツ ©1975 by Helmut Newton (te Neues Publishing Company「YVES SAINT LAURENT AND FASHION PHOTOGRAPHY」)

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