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アビゲール・テリアンさん

「こんにちは!」。青山の静かな住宅街にアビゲールさんを訪ねると、元気な挨拶と笑顔で迎えてくれたのは、長女のエリザベスちゃん(6歳)と長男のジェームス君(4歳)。その二人を温かく見守るアビゲールさんの母性的な笑顔が印象的だ。

スイス人の父、イギリス人の母を持つ彼女は、パリ生活をスタートした後、モデルとしてミラノ、東京、シドニーなどでショーやファッション撮影を経験。ランジェリーデザイナーFifi Chachnilのもとでプレスとして働いたり、パリの商社でフランス製商品を海外へ輸出する仕事に携わったりしたという国際派だ。ファッションブランドコンサルティング会社社長である夫とともに暮らすため、来日したのは6年前。ちょうどエリザベスちゃんを生んだ直後だった。

「日本は安全で私たちをとても暖かく迎えてくれたから、異国である日本での子育てに特に不安はなかったわ」

アビゲールさんにとって大切なのは、どこで子育てをするかはではなく、どう育て、どう子供たちと接するか。

「いつも子供たちのお手本でありたいと思っているの。もちろん間違うこともあるし、手探りだけれど」

そんな彼女が理想的な教育法だと考えているのがモンテッソーリ教育法。この教育法の目的は、自立した子供を育てること。子どもは、自らを成長・発達させる力を持って誕生する。大人はそれを理解し、自由を保障し、子どもたちの自発的な活動を援助する存在に徹するという発想が基礎にある。

「モンテッソーリは子供が自発的に経験すること、体験することを重視していて、何でも自分でやらせるの。その中で社会性や協調性を養うルールも設けているわ。すべての学校がこの教育法に倣うべきね。もともとは、イタリア人のマリア・モンテッソーリ夫人が障害児や貧しい家庭の子供たちのために開発した理論。それが今では、とても高額なお金がかかる。それが残念だわ。でも、モンテッソーリは家庭でも実現できる。私自身は家庭での教育が、自発性、自立性を尊重するモンテッソーリのようだったのよ」

自らの経験も反映させつつ、子供の個性を尊重することを心がけているが、すべてを自由にするのではなく、ルールに従うことの大切さを知ることも重要だと話す。実際に子供たちとはいくつかの取り決めをしている。ただ、ルールは無理やり押し付けるものではなく、公平なものであるべきとアビゲールさん。

「ウィークデーはTVはなし。TVを観始めると、外で自然に触れたり、自分たちで創造したりする機会が減ってしまう。遊ぶ暇がなくなってしまうの。その代わり、金曜日だけはDVDを観ながら食事をするの。手作りのピザを皆で焼いて、リビングでピクニックのようにしてね。TVは、あまりにも忙しく、煩く、コマーシャルが多すぎるでしょ。子供たちはTVを観るたびにとても神経質になって、興奮しすぎてしまうのよ」

ゲームやTVに支配されず、のびのびと子供らしい遊びに興じる子供たち。この日も、エリザベスちゃんは大好きなペットのハムスターと遊び、ジェームス君は数日前にプレゼントされたという大きな風船に夢中だった。

「でも、エリザベスがそろそろポータブルゲームが欲しいと言い出しているの。いよいよかなと思っているところよ。ただ、レストランに行くと、子供は親と話もせずにゲームをしている光景によく出会うわ。あれは問題。やはりルールは必要だと思うわね」

親が社会的なルールはきちんと教えた上で、子供たちをのびのび育てるのがテリアン家の教育方針。子供の教育には熱心だが、アビゲールさんは自分の思いを実現させることも忘れていない。この3月16日に、キッズのためのウェブセレクトショップ‘Abi Loves…’を立ち上げたばかり。

「アジアやヨーロッパによく旅をするの。すると、子供たちにお土産をたくさん買ってくるんだけど、各地から持ち帰ったものを、知人に“どこで買ったの”と頻繁に聞かれていたの。その反応がとても嬉しくて。それがきっかけでオンラインショップをオープンしたの。子供たちが帰ってくるのは4時ごろ。それまで時間があるから、その間に仕事をするの。ブランド探しで買い付けには6カ月の時間をかけたわ。エコロジカルで、フェアトレード、クールなブランドを世界中から探したの。いろいろなテイストをミックスしているけれど、オリジナルコレクションとして、タイ製のサマーパンツ(赤ちゃん向け、子供向け、レディース)も展開しているの。これはタイで作ったものだから、利益の数%はタイの慈善団体に寄付をするの。こんなアイテムを、各国で広げていきたいわ」

日常生活でも環境意識やチャリティ精神旺盛なテリアン家ではこんな経験も。

「カンボジアのアンコールワットに家族で旅をしたとき、友人が現地に学校を設立したので、そこを訪れたの。子供たちは喜んで地元の子供たちと一緒に授業を受けていたわ。決して立派とはいえない教室だったから、大人たちは戸惑ったけれど、子供って順応性が高いのね。そんな環境でもすぐに馴染んで楽しそうにしていたわ」

アカデミックな指導も重要だが、やはり子供は親の背中を見て育つもの。地球環境や世界の現状に目を向け、積極的に問題解決に関わっていこうとする両親の姿を見ながら、エリザベスちゃんとジェームス君は、きっと多くのかけがえのないものを学んでいくことだろう。

(text/june Makiguchi, photo/shiori kawamoto)

Profile


1976 年スイス生まれ。父はスイス人、母はイギリス人。子供の頃は冬になるとスイスのツェルマットでスキーをしたり、夏休みはイタリアやギリシャ、南仏で過ごすなど、たくさんの自然に囲まれて育つ。パリ生活をスタートした後、ミラノ、東京、シドニーなどでモデルとして活躍。その後、ランジェリーデザイナー、Fifi Chachnilのプレス、パリの有名な商社でフランス製商品を海外へ輸出する仕事に携わる。6年前に来日。今はフランス人の夫と二人の子供と共に東京で暮らす。2009年3月キッズのためのWebセレクトショップ、‘Abi Loves…’を立ち上げる。

Profile

アビゲールさんが世界中を旅して探したハイクオリティなキッズのためのWebセレクトショップ ‘Abi Loves…’ 
アビゲールさんのブログはこちら

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