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Vol.1 究極のお取り寄せを楽しむ前に by野村菜津子
究極のお取り寄せを楽しむ前に by野村菜津子

地方名産品、旬の美味、毎日使う調味料……。

その土地では当たり前のように食べられているが、実は、あまり他の地域では知られていない美味。旅先の食事で、意外性と美味しさに驚かされることは少なくない。もう一度味わってみたいが、そこまで出かける機会がなかなかない……。そんな時こそ、お取り寄せの出番だ。

例えば、嬉野温泉にある「大正屋 湯豆腐本舗」「とろける湯豆腐」。ぐつぐつという音とともに鍋の中の豆腐が、ふるふるにとろけていく逸品。ふわりとろりと舌の上で溶けていく豆腐は、湯豆腐の概念が180度変わる美味しさ。

尋ねてみると、嬉野の温泉水のアルカリ成分が、豆腐のタンパク質を分解して豆乳に戻るために、とろけていくのだか。ほかの温泉水ではこううまくとろけないそうで、まさに嬉野温泉だけで味わえる逸品。どこでも手に入らないその土地の名産の美味しさに、自宅でたっぷりと舌鼓を打つ。これぞお取り寄せの醍醐味だろう。

旬ど真ん中の特産品でも、お取り寄せは本領を発揮する。これからの時期、初夏に向けていよいよ旬を迎えるのが大阪泉州の水なすだ。普通のなすに比べ、皮が薄くやわらかい水なすは、水分をたっぷりと含みとにかくジューシー。その水なすをひとつひとつ丁寧にぬか床に漬けこんだのが「北由食品」「さんさ漬」だ。最近では水なすの漬物も出回り始めているが、やはり本場で伝統を守りながら作っている「さんさ漬」は、一味もふた味も違う。水で洗って手で裂いて口に入れてみれば、みずみずしさがいっぱいにあふれかえる。到着後のフレッシななすはそのままで、3~4日たって少し辛くなってきたら、生姜や香味野菜と一緒に刻んで冷たいお茶漬けにしたりと、たっぷり楽しめる。四季それぞれ、あちこちで旬の食材でいっぱいになる日本。いつでも何でも手に入り、旬が分かりにくくなっている今だからこそ、自分だけのお取り寄せカレンダーを作り、四季折々に旬の美味を取り寄せて季節を楽しむのもまたいい。

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