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プレジール,plaisir

プレジール,plaisir

下北沢と三軒茶屋の中間あたり、淡路通り沿いにひっそりたたずむパティスリー「プレジール」。もともと人気のある店だったけれど、特にこの数ヵ月、あちこちでその名前を耳にするようになった。どうやらスイーツマニアたちの間で頻繁に取り沙汰されるようになったのは、2010年1月にリニューアルオープンして以来のよう。街のケーキ屋さんから、遠方からも人を呼ぶ人気パティスリーへ。見事な転身の秘密を探るべく、プレジールへ足を運んだ。

(写真上)店名を冠した新作「プレジール」¥420は、捧さんが最も気に入っているケーキのひとつ。コーヒーと自家製プラリネクリーム、ヘーゼルナッツの濃厚な味わいに、オレンジとブランデーの風味がアクセント

プレジール,plaisir

大きなガラスの扉をくぐって階段を下りると、左手に焼き菓子やパンが並んだラック、正面に大きなショーケース。その向こう、ガラス越しに見えるキッチンでは、若い職人さんたちがテキパキと働いている。プレジールをガラリと変えた張本人は、湯島のロワゾー・ド・リヨンや青山のル・コント、品川のアロマクラシコなどを経てここへやってきたシェフパティシエ、捧 雄介さんだ。
「大きな店のシェフのひとりとして働いていたこれまでと違い、ここでは商品のラインナップから売上管理、人材管理まですべてを一任されています。僕が来てから店が変わったとよく言われますが、自分的にはまだまだ。これからやってみたいことだらけですね」
そんな捧さんが作るのは、自身も「一筋縄じゃいかない」と認める遊び心たっぷりのお菓子。そのために「ひと手間を惜しまない」ことを心がけており、プラリネやコンフィチュールなど、ケーキに使う素材となるものまで手作りすることもあるという。
「口に運んだ瞬間と食べた後の余韻の違いを楽しめるようなお菓子が理想的。素材は既製品を使えば楽なんですけど、自分で作った方がおいしいと思うものはすべて作るようにしています。たとえばコンパレゾンというチョコレートケーキに使うはちみつとレモンのクリームがあるのですが、既製品のコンフィチュールだとレモンの微妙な酸味や苦味が出ない。それなら自家製のレモンコンフィチュールを作っちゃおうって、そんなことがよくありますね」

プレジール,plaisir

(写真左)香りを意識して考案された「パルファン」¥420。まるで香水のトップ・ノート、ミドル・ノート、ラスト・ノートのように、紅茶とフランボワーズ、バラの香りが楽しめる (写真右)自身も甘いものは大好物。シェフパティシエの捧 雄介さん

プレジールのスペシャリテは上述した「コンパレゾン」450円。ミルクチョコレートムースの中にはちみつとレモンクリーム、そしてレモンコンフィが入っていて、味わいと食感のコントラストを楽しめる。もうひとつのおすすめは「パルファン」420円。紅茶風味のタルトの上に自家製のフランボワーズコンフィとフランボワーズクリーム、さらにフランボワーズジュレを重ね、バラのリキュールで香り付けしたメレンゲを飾った。“香り”という意味を持つ「パルファン」を名前にした通り、最初はバラ、次にフランボワーズ、最後は紅茶と、香りの変化が楽しめるまさに香水のようなケーキだ。これらの定番人気商品に加え、今年5月、プレジールに新たなスペシャリテ「プレジール」が登場した。自家製プラリネクリームとヘーゼルナッツがたっぷり味わえるこのケーキ、実は1月のリニューアルオープン当初から商品自体のアイデアはあったのだとか。しかし、何かが足りないと納得できずに発売を延期。試行錯誤を重ね、今回やっと発表されることとなった。決め手は、ケーキに加えたブランデーシロップとオレンジコンフィ。口の中にヘーゼルナッツの香ばしさが広がったあとオレンジとブランデーの香りが爽やかに抜けてゆき、より多くの感覚を刺激されるような気分になる。そもそも店名でもある「プレジール」は、フランス語で「喜び」を表す言葉。甘いものを食べたとき、おいしいものを食べたときの喜びをしみじみと感じられるこのケーキは、これから店の定番として愛されるはずだ。 >>vol.2 この夏注目のグラスデザート

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