waperitivo 和ペリティーヴォな時間

打合せ先で、コーヒーでいいですか?と聞かれることはあっても、紅茶でいいですか?と聞かれることはあまりない。僕は、コーヒー大好き人間なので問題ないのだが、最近、コーヒーを飲めない人が周囲に意外に多いことを知った。もし、打合せでいきなり紅茶とクッキーが出てきたらどうなのだろう。

最近、その紅茶にはまっている。漫画「紅茶王子」のモデルにもなったティーブレンダー熊崎氏に出会い、紅茶の面白さと心地よさを知ったことも大きく影響している。ティーブレンダーから紅茶の話を聞いていると、ソムリエからワインの話を聞いているのに近い。紅茶は、その土地の気候と土によって葉の味が変わり、ブレンダーによって茶葉は更に美味しく変身していく。保存方法さえ間違えなければ美味しく飲めるワインと違うのは、たとえ、いい茶葉に仕上がっていても入れ方を間違えてしまうと美味しく飲めないということにある。

しかし、僕のように無頓着な人間でも、ほんの少しのことを知っていれば紅茶は美味しく入れられる。例えば、80度以上の温度で入れないと茶葉は中途半端にしか開かない。沸騰したばかりのお湯を大きめのポットに注ぎ、暖めてから注いでやれば温度は保たれる。客に出す場合、以前は紅茶のカップとカップの間をティーパックが移動していたのだが、それでは味が変わってしまうことも知り、大きめのポットで入れてからわけることを知った。そして、貧乏症の僕はティーパックを上下にゆすっていたが、これも雑味のムラが出るのでやらない方がいいことも知り、お湯を注いでジッと待つようになった。茶葉は1ヶ月程度で使い切ってしまった方がよく、その間、冷蔵庫での保管もダメなことを知り、できるかぎり真空パックの茶葉を購入するようになった。

こういった今までの紅茶のイメージを取っ払い、静かな気持ちで紅茶を入れる時間。日本茶や中国茶を入れる時間にも通じる和ペリティーヴォな時間が流れ始めた。日本人には茶でもてなす文化があるのだが、紅茶とて似たようなものである。アフタヌーンティーも、元々は、ヨーロッパの貿易商が日本で茶の文化に出会い、持ち帰り、発展させていったものだと聞く。

さてさて、紅茶でいいですか?と聞かれる打合せに出会う日は日本にやってくるのだろうか。

イシコ

1968年生まれ。ホワイトマン代表
岐阜県出身。静岡大学理学部数学科を卒業するが先生になりそこね上京。映画、テレビ、演劇、イベント、出版、大道芸と様々な業界を渡り歩き、女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を経て、現在は(有)ホワイトマンプロジェクト代表。 ホ ワイトマンとは国内国外問わず、イシコの友達が白塗りをして、ショー、映像、本、 プロダクトなどを5年間限定で産み出して、遊ぶプロジェクト。MONOマガジンにて 「ホワイトマンの物生講座」連載中。
ホワイトマン公式ホームページ 和ペリティーヴォ ホームページ

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