
雑誌の編集長をしていたことがある。
雑誌は笑ってしまう程、売れなかったが、そのおかげで文章を書くことが好きになり、デザインに対して僕なりの楽しみ方を持つようになった。

デザインの良し悪しというのは、オピニオンリーダーや評論家の言うことで決まってしまうことが少なくない。
もちろん納得する場合がほとんどだが、結局のところデザインなんて絵と同じで個人の趣味嗜好でいいと僕は思う。
自分の目線で、そのデザインが気に入ったら周囲がなんと言おうと「自分は、このデザインが好き」と言えばいいのである。「このデザインがいい」と評論するのではなく、「このデザインが好き」なのだから誰にも迷惑はかけない。大事なのは、自分なりのデザインの目線を持つことだと思う。デザインに詳しい訳でもない僕が書くのも何とも説得力がないが。
と偉そうにデザインの前振りをしておきながら、今回、取り上げるのは世界中、どこにでもある街の標識である。
一方通行のマークだったり、駐車場のマークだったり、通りの名前が書いてあったりする標識である。僕は標識も立派にデザインされた作品だと思って楽しむことにしている。旅先で自分のデザインの目線で楽しめる一番、手軽なアイテムが僕の場合は標識である。
もちろんポスターも楽しいかもしれないが標識はあくまでシンプルに楽しめる。
たいてい初めて訪れる海外の街は土地勘もない。初日は自分の頭の中で地図を創りながら歩き回る。インフォーメーションパネルは必要に迫られて見るのだが、それと一緒に近くの標識も眺めてみる。
よく見るとイラストがかわいかったり、色味が面白かったり、大袈裟だろうと思うような創りも国の文化を反映していたりして面白い。これそのままTシャツにしたらカワイイだろうなぁと思えるものも結構ある。
最近、フォトショップやイラストレーターでいじりまくったタイポグラフィやデザインに時々、息苦しさを感じるときがある。そういったとき海外の標識などを見ているとどこかほっとする。この感覚は、デジタルオーディオプレーヤーで音楽を聴いていて、ある日、レコードプレーヤーで聴く音楽にホッとする感覚に近いのかもしれない。
イシコ
1968年生まれ。ホワイトマン代表
岐阜県出身。静岡大学理学部数学科卒業後、女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を経て、現在は(有)ホワイトマンプロジェクト代表。 ホ ワイトマンとは国内国外問わず、イシコの友達が白塗りをして、ショー、映像、本、プロダクトなどを5年間限定で産み出して、遊ぶプロジェクト。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても注目されている。
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