
「おじいちゃんがインド人なんだよね」
カレーを食べながら、俳優の友人にくだらない嘘をついたことがある。「だから、僕、カレー大好きなんだよね」これは嘘じゃない。僕はカレーが大好きである。

「次はインドが来るだろうね!」この言葉を友人のビジネスマンから聞いたときも、インド料理屋でカレーを食べながらだった。「インドは行っておくべきだね!」旅仲間の友人が、僕にインドに行くように勧めた。あのときもカレー…、いやカレーじゃなくマクドナルドだった。余談だが、インドにもマクドナルドはある。しかし、マクドナルドのメインであるビーフのハンバーガーはない。そのかわり、ピザ生地の上にやはり、カレーがのったメニューはある。
憧れのインドに到着してから、毎日のようにカレーを食べた。カレーを食べたというより気付いたらいつもカレー味だった。毎食、毎食、食べているうちに僕が好きだったのはカレーライスで、インドのカレーじゃなかったことに改めて気がついた。香辛料の違いなのか、それともドロッとしたカレー自体が料理にないからかはわからないが、僕のイメージしているカレーライスには最後まで出会えなかった。
(写真左)香辛料の露天も多い
今世紀中に中国を抜いて、インドが人口世界一になると言われている。そうなると世界の4人に1人がインド人という計算になるそうだ。極端なことを言えば、世界の4人に1人は毎日、カレーを口にするのだろう。できればカレーライスであってほしい。いくら僕がそうほざいても、僕がインド人のクォーターと嘘をつこうが、インドのカレーは変わらない。しかし、不思議なもので、今、インドを離れ、遠くフィンランドの地で、この原稿を書きながら、インドのカレーを食べたくなっている。これは嘘ではありません。
インド人のおじいちゃんの嘘をついた一年後、ひさしぶりに彼が出演する舞台を観た後、楽屋に遊びに行くと彼は他の俳優に僕を紹介しながら言った。「彼が前に話したインド人のクォーターの友達ですよ」僕は嘘を訂正するのを忘れていたことに初めて気がついた。「ナマステ」と挨拶した後、僕は生粋の日本人であることを告白した。
(写真右) ムンバイの浜辺で売っていたおじさんの豆もどこかカレーの香りがした

イシコ
1968年生まれ。ホワイトマン代表
岐阜県出身。静岡大学理学部数学科卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、現在は(有)ホワイトマンプロジェクト代表。 ホ ワイトマンとは国内国外問わず、イシコの友達が白塗りをして、ショー、映像、本、プロダクトなどを5年間限定で産み出して、遊ぶプロジェクト。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても注目されている。
イシコのセカイサンポ ホワイトマン公式Webサイト









