子供の頃、雪が大好きだった。雪が粘土細工のように思え、様々な形の雪だるまを作ったり、雪がボールになり雪合戦を楽しんだりと遊び道具が増えたのである。僕にとって雪は空からの楽しい贈り物だった。
(写真上)観光名所のヘルシンキ大聖堂も雪があるのとないのとで二度楽しめる
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成長するにつれ、雪は楽しい遊び道具だけではなく、雪崩など恐ろしい生き物に変身することを知る。高校生になり自転車通学になると、雪は、いつしかうっとうしい邪魔物へと変わってしまった。
昨日の夜中に降った雪で北欧の街は白銀の世界になっていた。電光掲示板にはマイナス1度と表示され、3月下旬のヘルシンキは、まだまだ寒いことを改めて実感させてくれる。ここ1週間、通っていたマーケット広場のテントカフェで、いつものようにミルクたっぷりのコーヒーとこけもものジャム入りパンをいただきながら、読めないフィンランド語の新聞をぱらぱらめくる。天気予報のマークくらいは僕でもわかる。どうやら今日は、晴れてきそうである。そういえば、昨日の夜に見たテレビの天気予報では、これからこの街は一気に暖かくなり、2日後には6度まで上昇するとも言っていた。テントを出ると青空も見え始めている。港に停泊している船の周囲の氷も溶け始めている。
(写真左)自転車が埋まっているところを見ると今日は積雪15センチ程度といったところであろうか
こうして、ヘルシンキの白い街並みを歩くのも悪くない。いや、待てよ。雪景色を楽しめるのは街を自由に歩けるからであるが雪の後ってこんなに普通に散歩できただろうか。もっとうっとうしくて、散歩を楽しむどころか足元を気にして歩くのが精一杯だったはずである。
しかし、この街の歩道はきれいに除雪されている。当たり前のことが当たり前にできることは意外に気がつかないものである。ちょうどトラムの脇を除雪車が通って行くのが見えた。このヘルシンキの除雪車が気持ちよく散歩させてくれるのである。
山積みにされた雪は更にトラックに積み込まれ、ヘルシンキの街から消えていく。夕方には通常のヘルシンキの街の風景へと変わっていくのである。何だか雪が楽しい装飾絵の具に思えた。この年になって、また雪が好きになったような気がする。
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イシコ
1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。
イシコのセカイサンポ
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