マレー半島の東側をマレー鉄道で北へ登ると、タイとの国境近くに終着駅「トゥンパ」がある。そのひとつ手前「ワカバル」という駅を降り、そこから車で15分程度走ると「コタバル」という街に辿り着く。街の様々な場所に設置されたスピーカーからコーランが流れ、スカーフを被ったイスラム教徒の女性達が溢れている光景を見ると、改めてマレーシアの国教がイスラム教だったことを感じさせてくれる。
(写真上)橋を見ながら、夕陽に向かって帰路につく車を眺めていることもありました
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この街にはクランタン川という大きな川が流れている。高校を卒業するまで岐阜県という海のない土地で育った僕は水辺で遊ぶということは川辺で遊ぶということだった。そのせいか大人になってからも川が流れている街に行くと、どこか懐かしい気持ちになり長居してしまうことが多い。
午後になると僕はクランタン川に行き、何をするわけでもなく、時間を過ごすことが多かった。立ち寄った川沿いのオープンカフェに大好きなビールはなかったが、アイスコーヒーやペプシを飲みながら川を見ているだけで十分だった。
海はどこから流れてきたのだろうと想像させてくれるが、川には「どこから」に加え、「どこへ」流れて行くのだろうと更に想像を膨らませてくれるお得感がある気がする。例えば海でビール瓶を見たら、「どこから」来たのだろうと過去だけを想像するが、川を流れているのを見ると、「どこから」だけでなく、「どこへ」向かって流れていくのだろうと過去と未来の両方を想像することができるのである。
(写真左)十字架の木が流れているのを見ていたら、いろいろなことを想像してしまいました
渡し船が反対側の岸の村から戻ってきた。一日に何度も行ったり来たりしながら、様々な人の足になっている。いつしか僕もこの船に乗って反対側の村に渡っていた。何があるわけでもなく観光する場所どころか食事をする場所さえ見つからなかったが、散歩するには気持ちのいい村だった。途中、この村で暮らす影絵職人に出会い、冷たい豆乳をご馳走になった。
こうして村から船で街に戻る頃、川辺の一日の生活が終わろうしていた。この夕暮を毎日見られるこの街の住民をうらやましく思いながら、太陽が沈むのをゆっくり味わうのである。
(写真右)日本にも公演に来たことのある影絵職人は、静かな村でひっそり暮らしていました
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イシコ
1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。
イシコのセカイサンポ
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