アウン・サン・スーチーの軟禁、サイクロンの自然災害時の人的支援拒否、日本人ジャーナリストの死亡事件など、ミャンマーと聞くと、あまりいいイメージはないかもしれない。そして、現在、日本人にとって最も未知の東南アジアの国かもしれない。「軍事国家」という言葉も馴染みがなく、あまり心地いい言葉ではない。少なくとも僕にとっては。
(上写真)水の入った甕が街のところどころに置いてありますが、お腹の弱い僕は最後まで手が出せませんでした。
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しかし、実際、ミャンマーの街を訪れるとそのイメージの違いに驚かされる。一言で表すと「優しい」という言葉がぴったりの国である。治安もよければ、人も全てとは言い切れないが、大概すれていない。だからなのか街には優しい時間が流れている。
さぼり気味で、締切原稿がたまっていた僕は滞在中、午前中は毎日、ホテルで書き物をしていた。よって僕に流れるヤンゴンの時間は午後から始まる。パヤーと呼ばれる仏塔に行き、仏像の前にある風通しのいい部屋の柱にもたれ昼寝を貪ったり、仏典を読んでいるお坊さんの隣で文庫本を取り出して読書を楽しんだりする。仏像の前で食事中の家族から「あなたも食べる?」と誘われることもある。
(左写真)さすが仏教国。袈裟をまとったお坊さんの姿はあちこちで見ることができます。
こうして陽が陰り始める頃、パヤーを出るとビルの陰や木陰にある屋台では、オープンカフェが始まっている。小さなテーブルの脇にある小さな椅子に腰を下ろし、1杯約300チャット(約27円)の砂糖もミルクも入った甘いコーヒーを飲む。僕より前に座っている隣のテーブルのおじいちゃんは煙草の煙を美味しそうに潜らせながら考え事をしている。向こうのテーブルの若者達は既にコーヒーがなくなり、テーブルの上に置かれた無料のやかんのお茶をちびちび飲みながら、楽しそうに話し込む。車の通行量は多いが、ほとんどクラクションを鳴らさないので道路脇のオープンカフェでもゆったり時間は流れていく。
歩道の人の流れを見ていると眉間に皺をよせて歩く人は日本の街に比べると間違いなく少ない。少なくとも肩が触れただけでキレたり、威嚇するような口調の人はいない。元々、ミャンマーの人々が持っている人間性なのか、それとも軍事国家だからこれが維持できているのか、優しい時間が流れる中で考える毎日である。
(右写真)汚れたんじゃないです。柑橘系の木の幹からできた「タナカ」と呼ばれる日焼け止めです。
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イシコ
1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。
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