トレンドアイテム 「原油高=物価高?」世界をつなぐ石油について考える
最近よく新聞、雑誌などで目にする「原油高」。市場関係者やメディアはなぜここまで注目しているの? と不思議に思ったことはありませんか? 実は「原油高」というのはとても身近な問題だからなのです。

ニューヨーク・マーカンタイル取引所での米国産標準油種(WTI)の先物価格が高騰し、1バレル50ドル台を突破。 10月、史上最高値を塗り替えつづけています。原油高の背景にはOPEC産油国の生産余力の限界など、供給不安が指摘されています。イラクなどの産油国の政情不安定などによって供給量は減少。それなのに、これから北半球は冬に入り灯油の需要が拡大するので、供給不足に対する警戒感が高まっています。
供給不安が高まっている一方、需要が拡大していることがさらに原油価格の上昇を加速させていて、なかでも中国が経済発展にともない、原油需要を拡大。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は今年第2四半期に前年同月比25%増という前例のない伸び率を記録しています。
さらに原油の高騰に拍車をかけているのがヘッジファンドなどの資金流入。上昇期待が高まっている相場で売り手がいないことが、相場の上昇基調を強くしているのです。

原油相場はあくまで先行指標。つまりはこの先小売価格にも波及し、消費者の私たちにもゆくゆくは影響してくる、ということなのです。運転するひとはもう既に気づいているかもしれませんが、年初に比べガソリンの小売価格が大きく上げています。冬を前に灯油価格も上昇し、これからも上げつづけると考えられています。
さらに、原油高を受けたアメリカの景気が減速すると警戒する市場関係者もいます。アメリカの景気失速は、為替相場で円高ドル安という形でもあらわれ、ドル預金をしている日本人の資産評価は円換算をすると減少してし
まうのです。
すでに欧州連合(EU)の欧州委員会は2005年のユーロ圏12カ国の域内総生産(GDP)の伸び率を従来予想から下方修正しています。 IEAの試算によると、原油価格10ドルの上昇でユーロ圏のGDPは0.5%の減少。アメリカは0.3%の減少で日本は0.4%の減少するとみられています。

日本経済と企業だけではなく、このように個人にも影響してくる「原油高」。 原油価格が上がり続けてしまったらどうなるのでしょう? IEAによると 原油価格の高騰がこのまま続けば、物価が上昇し、世界景気回復を抑制してしまうといいます。これからも原油価格から目が離せませんね。
(Text / yasuko niwa Photo / (c)CORBIS/CORBIS JAPAN)

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丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。現在は株式市況のレポーターとして日経CNBCに出演中。

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